柚香版『うたかたの恋』感想・3

・「マリー、来週の月曜日旅に出よう」「あなたとご一緒ならどこへでも」から始まるプロローグ。

ある程度のヅカファンなら古典として知っているあのシーンが目の前に。
しかも大階段で。
というのは気分が盛り上がるものであった。

今回いろいろと手を入れた令和版『うたかたの恋』だったのだけれど、残すべきところはきちんと残しているのである。
小柳センセイの取捨選択の目の確かさよ。
原作つきのものも上手くまとめる手腕があるものね。

プロローグでかれーちゃん、まいてぃー、ひとこのバレエがあるのも見物。
大劇場の本舞台を広々と使って、それぞれに優れたダンサーの男役トップ3が踊る豪華さです。

・ステファニーは悪くないよね、彼女が悪いわけじゃない。
うららちゃんは今回もお綺麗で眼福。

プロローグから舞踏会に移る段でステファニーと踊るときスッと雰囲気が凍るかれーちゃんルドルフに「そんな冷たくしなくても…」と思うけど麗しい夫婦。
しかしこの最後の舞踏会といいブルク劇場の場面といい、ルドルフってかなりひどい男である。
そういう「ひどさ」をちゃんとわかった上で作品を創っていて、「16才の無垢な令嬢との純愛」(=だから政略結婚の相手にはどんな仕打ちをしても良い)に逃げてない感じは好き。

ステファニーは終わりぎわのマイティー・ジャンとのダンスも素敵。

ダンスが上手い2人が、心情を見せながらあくまで優雅に、でも闘いのように踊る凄さ。
泣きそうになりながら、でも皇太子妃のプライドにかけて涙を押しとどめる。
波打つ感情をダンスの優雅さに乗せ、自分を見向きもしない皇太子・ルドルフへ怒りを向ける。

これまでのステファニーはあくまで政略結婚の相手で権高な女(=だからルドルフはほかの女に走っても仕方ない)という描かれ方だった気がする。
でも、うららちゃんのステファニーはルドルフを愛しているんだろうなと思えて切ない。

・ブルク劇場の場面、「お兄様はどんな小さな花も見逃さないのね」という妹・マリー・ヴァレリー(ここちゃん)。
妻・ステファニーが同席してるんだから、わざわざそんなこと言うんじゃないよ!!
いやもう、夫婦仲は冷え切ってるしいつものことだし今さらだしってことなのかな。

・男役トップ3のダンスといえばプラーター公園の場面も。
マイティー演じるジャン・サルヴァドルだけでなく、ひとこ演じるフェルディナンド大公にも身分違いの恋人(あわちゃん)がいると明かされるシーンです。
まいらたち「酒場の男」役が激しく踊るだけじゃなく、気さくな3皇子も公園で踊る。
見せるねぇ。
小柳センセイのファンサービスがすごい。

プラーター公園は小芝居が危険。
私が観た日はまるくん大尉が酒を一気飲みさせられ、むせたりふらついたりしゃっくりしたり。
周りの酒場の男たちはトントンしたり人形見せたりしてしゃっくりを止めようとしていた。
両手出して「吐く?吐いていいよ?!」みたいにしてたのはまれくんかな?優しい。

プラーター公園の場面は目が足りなくて、うっかり脇の小芝居を見てしまうとメインがなにしてるかマジわからん……。
噂ではあわちゃんがひとこ相手にいろいろ仕掛けてるらしいんだけど。

あと、プログラムに名前がないけどツェヴェッカ伯爵夫人がミッツィと喋ってたような。
そこからゼップスとクロードの逮捕につながるのかな?

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