『RRR』東京新公を見たんだ・1

星組公演感想,星組

『RRR』東京新公が行われました

星組東京公演『RRR』の新人公演をライブ配信で見ました。
上演は3月20日(水・祝)18:30~。平日夜の予定が祝日の夜に変更されたため、私としてはありがたかったです。
日程変更しての新人公演は異例ですが、おそらく新公主演者の休演によるもので、しかもムラ新公が行われていない現状もあってのことでしょう。

ムラ新公があればまだ人前で演じるという経験も積めるしなにがしかの映像も残せるけど、東京だけだと難しい。
新人公演は下級生にとっては経験を積む大事な機会。ファンも増やせる。
劇団全体ではいずれ卒業する上級生だけでなく下級生への接触機会を作ることで、ファンの延命をし将来につなげることもできるわけです。

新公演出

今回の新公担当は竹田悠一郎氏。
ほのかちゃんバウ『PRINCE OF ROSES-王冠に導かれし男-』、ほってぃとはなこちゃんの『殉情』(潤色・演出)、あまとバウ『My Last Joke』のお人ですね。
今年8月には星組ショー『Tiara Azul』で大劇場デビュー予定です。

『RRR』のどの場面がカットされるんだろうと思ったけど、よく考えたら一本物じゃなかった。一本物くらいのボリューム感のある作品だからうっかりしてたぜ。

大きな演出変更はなかったような。
ビームとラーマが出会う「川のほとり」がコンパクトに感じたかなぁ。人数も少ないしね。

最初の『RRR』のロゴにビームとラーマの顔ハメはありませんでした。

でもラッチュの手配書きは世奈くんの顔になってるのだった。

主演・コムラム・ビーム/あいみちゃん①

今回の主演はあいみちゃんこと大希颯くん。
ようやくきました。待ってました。

かれは宝塚音楽学校の105期生文化祭で、芝居で3番手格ながら強烈な印象を残した人だから上がってきてほしかったんですよね。
当時から歌と芝居の実力と、堂々たる風格の持ち主でした。
組配属時は小林一三翁の玄孫と同組同期でどうすんのさ!?とファン界隈がざわつきました。が、ここにきて新公主演というスターポジションへの足掛かりを得て、ほっとしました。
このまままゆぽん系別格路線の道もあり得たけれど、ちょっともったいない感じがしたので。

ただ、ご本人には自信があるんだかないんだかよくわからないという印象もあります。
舞台は堂々としていて大物感があり体格に恵まれてるけど中卒だしね。

さてと、今回の新公の話。
とてもよかったです。

20年もヅカファンをやってると、1回1回の観劇が「薄く」なる。
初めて宝塚を見たときは「あれはなんだったんだ」と5日くらいはふわふわした気持ちで生きてたのに、今や2日目にはふつうに仕事に行けてしまう。もったいないが慣れである。(もちろん作品にもよる)
観劇が特別なことじゃなくて日常のイベントに落ち着いてしまった。

が、今回の新公はふわふわした気持ちを引きずっている。
ライブ配信で画面越しだったのに、「あれはなんだったんだ」「すごかったなぁ」が仕事中も頭にある。隙あらばあいみビームを脳内で反芻している。
この感覚、久しぶりだわ。

どの場面もよかったんだけど、圧巻なのは処刑場の「コムラム・ビームよ」のところ。
鞭うたれる中に、守護者として覚醒し、神性が宿るような雰囲気があった。

本公演では、礼ビームの闘志と不屈の魂に暁ラーマは心動かされたように見えた。
新人公演では、大希ビームの群衆をも動かす神性に、御剣ラーマも熱狂の渦に巻かれたようだった。
瞳の色が変わるような凄さがあいみビームにはあった。
神が宿る瞳とでも言おうか。

あいみちゃんがどこまでを「演技」としてやっているのだろうかというのは気になる。
私は、役者は必ずしも役そのものになりきる必要はないと思う。それでも憑依系は役の説得力は上がりやすいよね。
でも日常も引きずられそうだし、舞台上でもコントロールが難しそう。役者をしたことはないので実際のところはわからないけど。

もとより歌と演技の技量が高いところに、それを超えた芝居をできる人なんじゃないかなというのがあいみちゃんの印象です。
なにがどうなるかわからない、わくわくする。
願わくは、あいみちゃんの実力が引き出せる作品と役付きがこれからも与えられますように。

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