大劇場でも観劇した『ライラックの夢路』新人公演。
東京はライブ配信で鑑賞しました。
新公の演出はムラと同じく野口センセイ。
前回の反省を踏まえてか、経験値を積んだがゆえか、みんなムラのときよりはるかに良くなってましたよね。
主演・ハインドリヒ=のりぴー
特に進歩したと思うのが主人公・ハインドリヒののりぴー。
ハインドリヒの中身が、感情が、とてもよく見えた。
のりぴーのハインドリヒはとてもまじめで、あらゆることに葛藤しながらきちんと選択し、進んでいるように見える。
本役・咲ちゃんのハインドリヒが「スピードが大事」を役の性根に据え、改革的に勢いよく物事を進めていくのとは違う役作り。
咲ハインドリヒはともすれば考えなし、信頼という名の無茶ぶり、弟たちを振り回しての行き当たりばったりではないかと、あーさフランツが怒りを覚えるのも納得な性格です。
対して、新人公演ののりぴーハインドリヒは思慮がありそうで、あまり無茶をする雰囲気ではない。
貴族として領地の農民を食わせるために奔走する責任感と、長兄としてのリーダーシップが見えるのである。
中盤で歌うソロもシリアスな雰囲気で聴かせる。
ハインドリヒがすごーーーーくまともな人に見えるから、スピード感やファンタジー性は本公演より控えめ。
でも感情移入しやすくて、いくぶん話が見やすいのであった。
芝居もダンスも歌も良くて、ちゃんとした新公主演ぶりでした。
実力はある人という噂はほんとうだったのね。
主役の性格がきちんと見えたせいか、虚無な作品があまり虚無な感じがしなかったのが最大の収穫かもしれません。
いや、東京新公は2階B席の奥からじゃなくて、きちんとカメラで追えてたからってのもあるかもしれないけど。
2番手・フランツ=かせきょー
かせきょーはスターだねぇ。
長身でスタイルもよくて、出てきただけで華があるのはすごいこと。
しかもいいのは見た目だけじゃなくて、ちゃんと実力が備わってるのが強いですよ。
歌声も緩急があって、大きな声が出るのがいい。しかもちゃんと上手い。
こちらも役作りをきちんとしていて、かなりアレな女であるディートリンデ(=みちちゃん)を愛して悩みつつ別れを決意する流れがきれいに見えた。
ディートリンデに対しては、あくまで「遊び」という形をとることで、お互いが傷つかないよう配慮してたんだろうなぁ。
そして基本は生真面目だから、「遊び」でないと長兄・ハインドリヒをさしおいてディートリンデと関係を持つことができなかったんだろう。
フランツとディートリンデがすごいリフトをするところ(2回ほどひょい、ひょいと持ち上げて回すやつね)、とてもきれいに決まってました。お見事。
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