和希版『心中・恋の大和路』感想・2

雪組公演感想,雪組

7月24日(日)16時公演を観た雪組シアター・ドラマシティ公演『心中・恋の大和路』の感想の続き。
まさかこの後長く中止になるとは……。
最近は滑り込みセーフで観てることが多いなぁ。それだけ途中からの公演中止とかが多いってことです。

・ゆきのちゃんのかもん太夫、めちゃくちゃ美しかったわ!!
華やかー!美人ー!!
そりゃ与平も一目で恋焦がれるわ。

美人でないと説得力の生まれない役ってあるもんで、遊女の最高位である「太夫」はその一つ。
宝塚雪組屈指の美貌娘役のゆきのちゃんが演じるにふさわしい役でした。
セリフもおっとりと、太夫らしい風格を備えてました。

「幸福」なかもん太夫とて相愛の人に嫁ぐわけではないんだよね。
大和の大家のご内儀になるだけで。それでもこれが幸せになる道と思い定めて大門を出て行くだけで。
(でも相手がどうあれ苦界にいるよりははるかに幸せだろう。ゆっくり寝られるだろうし)

自分の幸せは自分で決める、という芯の強さ、賢さもまた太夫に必要なもの。
幸せな人生を歩んでほしいと思うし、きっと歩めるでしょう。

・かもん太夫に恋い焦がれる与平はすわっち。
上手いよねぇ。
惚れた相手を目の前にして顔を上げられぬ照れ方、卑屈にすら映りかねないほどの低姿勢ぶりに与平の純情ぶりがわかる。
彼なら間違いなく太夫からもらった鼈甲のかんざしを抱いて寝るだろう。

与平はかもん太夫に会わせてもらった恩義から、忠兵衛への忠義を忘れない。
亀屋も忠兵衛がだめなら与平でいいじゃん、とか思ってしまうのだけれど、与平としてはそうはいかないんだろうなぁ。
だから八右衛門とともに忠兵衛を追っていく。

・カチャ演じる八右衛門は、そら忠兵衛よりだいぶ大人に見える。
というか忠兵衛が幼い役作りなんだろうけれど。

粋な遊び人のつもりのポヤポヤした忠兵衛を、兄貴分として見守りながら一緒に遊んでいるように見えた。
八右衛門はけっして商人としての分を超えず、身を持ち崩したりはしない。
だから梅川にのめりこみすぎて商人としての魂を捨てつつある忠兵衛を強引に諫める手段をとる。
結果としてそれは叶わなかったけれど、ちゃんと大人の男として、たとえ相手に嫌われようとすべきことをするというきちんとした考えが見えた。

梅川と逃げた忠兵衛を飛脚宿衆は追っていく。
そのままにしては、金を扱う彼らの信頼に関わってしまう。
そうはさせじと八右衛門も追っていく。

八右衛門は宿衆に、雪山へ向かう忠兵衛をそのまま見過ごせ、かれらの死に場所にと情に訴える。
八右衛門の言葉に忠兵衛の逃亡をゆるす飛脚宿衆。
ここで忠兵衛をとらえなくては世間への顔向けができまいに、その振る舞いに納得させられるだけの迫力がカチャ八右衛門にはあった。

・観劇した日、与平が忠兵衛と八右衛門を呼ぶ場面で亀屋の扉がうまく開かなくて3人でアドリブを。

カチャが「建て付け悪いね」と言ったり、顔の前で両手を下げるポーズで「オバケのしわざ?」とやったあと忠兵衛と八右衛門が拝んだりしてました。
学年を重ねてるだけあって、うまく面白く笑わせてきました。

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