そらちゃん主演の雪組シアター・ドラマシティ公演『双曲線上のカルテ』のライブ配信を見ました。
9月3日(日)16:00公演です。
まずは潤色・演出のかっしー(樫畑亜依子先生)にお礼を言いたい。
ありがとーーーーー!!
11年前に観た初演版(ちぎあんり版)の演出がほんとひどかったせいで、基本的に全組全公演観たいタイプの私ですら積極的にチケットを取ろうとは思えなかったのですよ。
なんせ初演の作・演出はダーイシ。決定的にデリカシーに欠ける。いらんところで笑いを取ろうとする。
でもそのデリカシーに欠ける部分をきちんと修正してきて、ちゃんと感動作に仕上げてきたのはかっしーの手腕なのでしょう。
あ、もちろん出演者が素晴らしかったというのはあるけど、脚本・演出って出演者の演技以前の問題だからさ。
初演で「うわぁ、ないわ」と思ったうちの2つ、天使と同級生の妊婦がなくなったのはよかった。
初演の天使は、もしかしたら「シリアスな話だから少しでも軽い気持ちで見てもらおう」という気遣いだったという可能性もある。
けれど、仮にそうだったとしてもハズレはハズレである。人の生死をコメディ仕立てにしちゃいかんだろう。
妊婦の話は、主人公・フェルナンドの同僚・ランベルト医師の豪放さと無神経さを示すエピソードの一つ。
病院を訪れた妊娠した女性がランベルトの学生時代の同級生とわかり、女性は診察を拒むもランベルトは気にもとめず診察室へ……という流れ。
婦人科の診察だから、ふつうの病気(風邪とかケガとか)とは違って、性的な意味合いが入る。(相手は医者とはいえ、女性側は性的な意味合いから診察を拒否している)
妊婦を男役の女装で演じさせてコメディにしていたけれど、ほんっとデリカシーないわ、ダーイシ……。
この2つがなくなっただけでも、かなりのストレスが減った。
代わりに入ったのが、フェルナンドのマジョレー湖でのダンスかな。
入水したフェルナンドとして、そらちゃんが白い衣装で、裸足で踊る。
見事なダンスです。
それ以外では、たぶん今回は白綺さんが演じてた歌手が初演ではアイドルだったような。
再演版ではふつうの歌手になって、変な色もつかず素直に物語に収まっていた。
舞台がイタリアのわりに、登場人物たちの感性その他がものすごく昭和な日本というのは初演も再演もあまり変わらず。
血液型占い始めちゃうところとか、ヒロインがやたら素直でけなげなところとか、フェルナンドをめぐってのモニカとクラリーチェの関係が妙に昼ドラなところとか。
そこは原作が原作ゆえに、仕方ないところなのでしょう。(読んでないけど)
原作はどうあれ、演出家次第でかなり仕上がりが違うというのを強く感じました。
世代により、また描く人の性別により、かなり変わってくるのねぇ。
昔と今じゃ、求められる社会的な規範のレベルも違うしね。
それに、ちゃんとした作品のちゃんとした登場人物なら(たとえダメ男であっても)、出演者たちがかっこよく見える。人気にもつながりやすい。
あえて『双曲線上のカルテ』を再演した意味は分からないけど、かっしーはいい仕事したわ。
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