『冬霞の巴里』感想・3

花組シアター・ドラマシティ公演『冬霞の巴里』のライブ配信を見ました。
現地では初日含めて3回観たので、これで4回目ですね。
(観たのは3/25(金)15時、3/26(土)16時、3/27(日)16時、配信は4/2(土)16時)

観劇の回数を重ねるごとに面白みが増す作品だと思います。
多くの人に役がついてるから、目が追いついてくるというのもあるしね。
伏線となるセリフがわかるから、一つ一つの言葉の重みが沁みとおってきます。

また、演者の進化によってか、見え方が変わってくる部分もあります。

※またも腐った話が始まるので苦手な方は注意※
※ネタバレ的なものも含まれます※

今日、DC楽を見て印象が変わったのがほのか演じるヴァランタン。
だいやシルヴァンが捕まってギロチンは免れない……となったところです。

オクターヴ(ひとこ)はシルヴァンと同じアナーキスト仲間であるヴァランタンの淡々とした態度に「仲間が捕まったのに冷たい」となじります。
それに対するヴァランタンのセリフ、「あいつは俺より真面目だったから、まともに学生やってりゃよかったのさ」に怒りが見えました。

そして「俺もためしに本心に従ってみるか」――この後、ヴァランタンはギョーム(つかさ)襲撃に行くわけですが、シルヴァンの逮捕、そして確定した死がヴァランタンのスイッチを押したかのようでした。

ヴァランタンは1幕で、オクターヴにこんな忠告をしてるんですよね。

「ねぇ君、親の敵討ちってものはそんなに大層なものなのか」
「本心に従うと命取りになる」

ヴァランタンのギョーム襲撃はまさに「親の敵討ち」。
そしてきっかけは「本心に従」ったから。

自らがオクターヴにした忠告をふいにするような、ある種やけを起こしているのはシルヴァンの逮捕がきっかけではないかと。
しかも「俺には失うものなんてもうないんだよ」とまで言っておられまして。
初見では、亡くなった親を含めた家族や財産や地位など昔持っていたものかと思ってたのですが、ここにシルヴァンも含まれてますよね、流れ的にはきっと。「もうない」んですから。

というところが今日すとーーーーーんと腑に落ちまして、脳内がひぃあああああ!!!!となりました。

ていうか、シルヴァンはシルヴァンでヴァランタンの腰巾着感というかワンコ感がすごいというか、「なんでお前もここにいるんだよ」な感じがありましたよね。
カフェ・コンセールを出たあとの夜の町、ヴァランタンがオクターヴを劇場の外に誘ったときにシルヴァンもなぜかやってきて踊ってるっていう。ツッコミ入れたかったわぁ。
シルヴァンの気持ち的には用心棒も兼ねてるのかしら。

あ、この場面の「1人殺すも100人殺すも両手は血に染まる」という歌詞もツボです。
だから爆弾投げようとするんだよね、この人たち。
同じ下宿のアンブルもいるっつーのに。

2幕は2幕で「2人でやっちまおうぜ、あんな腰抜けほっといてさ」とかシルヴァンが言い出して、「相手にされなくて妬いてんのか」とヴァランタンに煽られてるし。
手のひらでコロッコロされてるわあああああ。
シルヴァンがヴァランタンを好きすぎて笑える。

(でも「なんでも本気でやれば英雄気取りか」と煽ってんだか諫めてんだかなセリフを言うヴァランタンさんは大人である)

そう考えてみりゃ、下宿でのオクターヴとの出会いの場面での「背中のほくろをご覧になる?」に対する「君(アンブル)のは勘弁だ」(≒オクターヴのなら見たいってこと??)だってシルヴァンにとっては一種の煽りですよね。

年齢設定が謎ですが、シルヴァンはまだ学生だからはたち前後かな。
ヴァランタンは19年前の爆破事件で親が誤認逮捕から処刑されている。彼の隠しきれない育ちの良さからして、そのころある程度の年齢にはなってたと思われるから、かれは30代にはなってるんじゃなかろうか。

という2人の年齢差から、たぶん素質はあったもののヴァランタンに影響されて、シルヴァンは加速度的にアナーキストに、そして爆弾魔になってったのかしら……とか。
なんならかつてヴァランタンがシルヴァンの家庭教師的なものをしていて……などと、勝手な妄想も生まれる。

「2人でやっちまおうぜ」なシルヴァンはとっても若いので、その若さを煽られて、いろんな方面でいたぶられてたら美味しいなぁ。

精神的にはヴァ×シルだけど、若さを買われて(?)肉体的にはシル×ヴァもアリだな……とかしょうもないことばかり考えてしまい、今の私は非常に幸せです。

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