『Lilac(ライラック)の夢路』感想・2

雪組公演感想,雪組

初日あたりに観た雪組大劇場公演『Lilac(ライラック)の夢路』の感想の続き。

※ネタバレ含む※

今作を一言で表現するなら「一見、感動作の顔をしたトンチキ」でしょうか。
まじめでまともそうだからトンチキをトンチキと理解するまでに時間がかかってしまいました。
個人的には谷センセイ(皆殺しのほう)や中村Aレベルの突き抜けたトンチキのほうがありがたいです。
お願いだから山場と笑いどころをください……。

終盤に美穂姐がネタバレしまーす!って言ったとき、げんよーのくらっちか!って脳内で突っ込みました。
(『眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~』の語り手ポジ・春崇は、実は主役たちの子どもだったというオチです。念のため)

トップコンビの「私たちの夢路はこれからどうなるのかしら」「ライラックが導いてくれるさ」は、俺たちの戦いはこれからだ!エンドの亜流みたいやなぁとも思いました。
俺たちの戦いエンドはこの前月組『応天の門』でやりましたね。

・ドロイゼン家5人兄弟のうち末っ子のヨーゼフ(かせきょー)。
音楽家で天使のように可愛いのですが、母親同様身体が弱く芝居途中で亡くなります。
その後、ヨーゼフが(思い出のシーンなどでも)一切出てこないという謝センセイの作劇方法はいかがなものかと思いますが、見せ場らしい見せ場のない芝居に今作においてはおいしい存在です。

一方、あがちん演じるアントン。
天涯孤独にして腕の良い鉄職人の彼は主人公・ハインドリヒ(咲ちゃん)と意気投合します。
腕の良さを買われてハインドリヒのために働きますが、それに反感をおぼえる職人がいるのも致し方ないこと。
引き抜かれていなくなった職人の分まで働くことを誓うアントン=あがちん。

や・め・と・け!!!!

と一労働者としては思うのですが、そこに「血はつながっていなくても志が同じ我らは兄弟みたいなもんだ」みたいなことを言い出すハインドリヒにさらにうわああああとなるのでした。
うん、経営者としてはめっぽうありがたい存在だもんな、アントン。

で、ドロイゼン家に出入り自由になってる感のあるアントン。
すげぇな。
いいの?それで。貴族の邸宅的に。

ヨーゼフの異変を知らせたのもアントンだ。
ドロイゼン家の父親の醜聞の本当のところを突き止めたゲオルグ(そらちゃん)が兄弟たちに真実を告げているときに、壁ごし(?)で立ち聞きしているアントンもどうかと思う。
なんなん? 呼ばれてたの?
そして異母兄弟だったとわかるやいなや即座に「兄さん」と抱きつきにいけるの、すげぇな。
(なおアントンの母親は美穂姐)

5-1(かせきょー)+1(あがちん)=5で収まりがいい……って、なるかーーーい!!

謝センセイ的には大団円なのでしょう、たぶん。

あ、序盤のドロイゼン五兄弟のダンスは戦隊モノ味がありました。
せっかくだから衣装を5組のカラーで揃えてほしかった……!
宝塚だけに。

・109期生の初舞台公演なので、芝居の前に初舞台生の口上がありました。
私が観た4/22(初日)は音綺・早瀬・美鈴、4/23の15:30は月世・ゆり・逢莉(敬称略)。
皆さんとちることなく立派に口上を務められていました。

ゆりさん、可愛かったな。成績は悪いけど、ビジュアルの良さを買われて入ってくる娘役さんって一定数いるよね。宝塚だから可愛いのも大事。
成績はダンスの割合が高いから、芝居や歌はいいのかもしれないし。

月世くんもいい感じのビジュアル。こちらは成績もいいのでいろんな意味で期待できます。

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