『はいからさんが通る』感想・3

2020-10-14花組公演感想

・ちなつの青江冬星。

日本人でありながらロングの茶髪、水色のスーツを着こなすのがすごい。
前髪をふっと払うのが美しいけど笑える。
脚長すぎで、ソファで眠っているのは眼福であった。

冬星さんはかっこよさ担当とともにコメディ部分もかなり担っている。
紅緒の掃除に迷惑かけられたり、女が苦手なためじんましん出したり。
この2つを両立するってすごいよ、演出家の信頼を感じる。

コメディ部分をやりすぎないのがちなつらしい品の良さだ。
やりすぎると内輪受け感が出て「あーはいはい笑ってほしいのね、笑ってあげるわ」みたいな気持ちになるもの。そして結果、作品が崩れる。
作品として必要なものを必要なだけ、きちんと出してくるのがちなつの美点だ。

ちなつは基本の雰囲気が堅物というか硬質なので、こういう人がコメディをやるから面白いというのはある。

ラリサの病を知った紅緒が少尉から身を引くくだりでの「全部忘れさせてやる」は最大のときめきポイントだ。
基本クールな冬星さんが大人の包容力でもって抱きしめてくるんですよ。
その裏には熱量があるのも感じるし。
結婚式、関東大震災、紅緒と少尉の再会と再燃があって、一人去る冬星さんの美しいこと。
背中が美しい。

焼け残りの雑誌を拾い、出版社を再興しようとする冬星さんを仲間が待ってた場面はじんときた。
あそこで紅緒の背中を押して終わりじゃ切なすぎる。

台詞が明瞭なのと、歌声の声質がいいのがまた幸せなポイントでした。

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