『瑠璃色の刻』感想・2

月組

月組シアター・ドラマシティ公演『瑠璃色の刻』5月4日(木・祝)12時公演と16時公演、6日(土)16時公演を観てきました。

作品は嫌いじゃありませんが、脚本への文句はありまくりです。

※ネタバレ注意※

・王宮の貴族がシモンの口から出まかせを信じる理由がわからない。

びっくりするぐらい話に根拠がないんだよ。
昔話(カエサルとかクレオパトラとか)をして私も関わってたんですよー、ってそれだけ。
不老不死の妙薬エリクシールで昔からの美貌はそのままです!の話も口で言ってるだけ。

よくある「占いに見せかけてるけど実は捜査と推理の結果」ですらないのがすごい。
証拠のひとつくらい出せや。

王妃たちに悩みを打ち明けられても実質「だいじょうぶですよ」しか言ってないというすごさ。
瑠璃色の賢者の石がシモンに予知能力を与えたわけでもなさそうで……ほんと、なんでこれで詐欺を働けたんだ?

・シモンがサン=ジェルマン伯爵として王宮に残る選択をする理由が弱い。
「あの方は私を信じてくれた」とか言ってたけど、それだけかよ!?

ダミアン一座は貧しかっただろうけれど、仲が悪かったわけではない。彼があの一座に居場所がなかったわけでもない。
ジャックという親友もいてシモンは孤独でもなかった。

芝居を見ているかぎりダミアン一座から王宮に居場所を移す理由って「お金」以外にないんだよ。
さち花アントワネットの人格に惹かれてってことはわかるけど、それが具体的なセリフや行動で出てこないから困る。

・マリー・アントワネットがシモンの嘘を見逃していた理由が弱い。
「シモンの占いもアデマールの踊りも私の心を癒してくれた、希望の光だった」みたいなことを言っていたけど、これがまた具体性がない。

くらげちゃんアデマールの踊りはたしかにうまかった。
だけど、それが他のものとは違うアントワネットの希望の光たり得た理由がわからない。
アデマールが宮廷の舞踊団に入ることってアントワネット的になにか特別な意味があんの?

アントワネットも、上手くは踊れなかったけれど昔バレエやっていて、アデマールの踊りでフランス宮廷に入る前の自分を思い出したとかそんなん?(適当)

シモンの占いは具体性がなさすぎるし(実際占えていないのだから当然)、アントワネットのためを思っての口から出まかせが他の取り巻き連のおべっかとどう違うのかわからない。
だからシモンの占いに心を救われる意味がわからない。

とりあえずこれを納得できる形にするにはシモンとアントワネットが恋に落ちたくらいの設定にしておかんと……。
(それでも無理やりだけど)
どこのフェルゼンだよ、って感じになりそうだけど。

あるいは、賢者の石の力を得て本当に予知ができるようになったという設定でもいいと思う。
予知ができて不幸な未来が見えたけれど――という流れ。まぁそうなったらそうなったで回避方法を考えろと言いたくなったかも。

・アデマールがアントワネットを許すようになったのが「あの方も孤独だったから」が単純すぎてぽかーんとした。
ていうかどこのロザリーですか。
貴族たちが逃げたあともアントワネットのそばに仕えて最期を看取ろうとしてるし。

・みやちゃん、くらげちゃん、さち花たちの演技は素晴らしかったけど、脚本が全くのザルなので、いくらなんでも納得するのは無理だった。
原田センセイってほんと感情の流れとか具体的なエピソードを描くのダメな人だわ。

0

月組

Posted by hanazononiyukigamau