『翼ある人びと』感想・2

宙組DC公演『翼ある人びと―ブラームスとクララ・シューマン―』2月15日(土)16時公演と16日(日)11時公演を観てきました。

●土曜日もとてもよかったんですが、日曜日の前楽もすごい舞台でした。
気のせいかもしれませんが、出演者の舞台への入り込み方が前日よりすごかったんです。
鬼気迫ると表現したいくらいに。

そのせいかどうかわかりませんが、土曜日は私の近くの席の方たちが泣いて泣いて鼻をすすってすすって……。
両隣りと斜め後ろから聞こえてくるので、それに気を取られて私は泣きそびれた(笑)。
滂沱の涙を流すお隣さんに「大丈夫ですか」と幕間に聞いたら「だいじょうぶじゃない……!」と返されました。そりゃそうだ。

まぁそんな感じで客席が涙と感動の渦に巻き込まれていました。

ちなみに土曜日は10列目あたりのセンター、日曜はかなりの後方席だったので、「近くで観たから出演者の雰囲気にあてられた」とかいうレベルの話ではありません。

●ヒロインのクララ・シューマンを演じたうらら様がとにかく素晴らしかったです。

まずはヒロインであることを簡単に理解させる美貌。
誰しもが持ち得るものではありません。
劇場の真ん中にいること、あらゆる男たちに愛されることを納得させてくれること、それが非常にありがたいです。
娘役にしては大柄な体格もあってか、ドレスの着映えがこれまた素晴らしい。

でもうらら様のはただの美貌じゃない。
何が素晴らしいと言って、その気品でしょう。

ろくに音楽を解さず、クララを娼婦のように品定めする社交界の男たちに欲望の対象として見られても、それでもなお犯しがたい気品を有している。
魂の高潔さ、気高さを感じさせてくれます。
また、一方的に見られるだけでなく、その気になればきちんと撥ねつけられそうな瞳の強さがあるのもいい。

夫を愛し、子供を愛し、音楽を愛して生きたクララですが、物語としては”不倫”です。
社交界の女性たちに言われるように、(肉体的なものはなくとも)精神的なそれのほうが問題、と言われるような形での不倫。

けれど物語にも出演者にも気品があり香気が感じられることと、音楽・芸術を核にした物語であるので醜悪に堕しませんでした。

また、うらら様は包容力があるというのが今回の発見。
「おっかさん」的なものではなく、包み込み、癒すようなやわらかさ。
歩むべき道を示し背中を押す強さもある。

それと、上田センセイのレトロな言い回し(語尾が「~なくてよ。」的な)がきちんとはまっていたのがすごい。
こんな言い回しをする若いお嬢さんは現代にはまさかいるまいが、クララとしてしっくり馴染んでいた。
言葉に嘘がない。
こういうセリフが与えられるといかにも「言わされてまーす!」な人もいるんだけど。

とにかくクララは絶賛したくなる役でした。
きちんと役が書きこまれているから演じる側もぶれずにいられるというのはあると思いますが、それでもこうまでハマるというのは稀でしょう。

歌は、まぁ、アレでしたが……(特に第1幕)。
でも2幕でルイーゼが結婚する場面の歌はよかったと思います。
あとどこの場面か忘れたけど、2幕でのデュエットもけっこう好きだったな。

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