『カサブランカ』感想・9
●みーの役(=サッシャ)はかわいい。
ディック・ガムシューのときにも思ったけど軽い役が上手いな。
その上歌えて踊れるってなんなのアナタ!
一番の見せ場はゆうひさんとのキスシーンですが、せーこちゃんとのやりとりもいい。
サッシャはせーこちゃん(=イヴォンヌ)に惚れているロシア人。
リックに惚れてるイヴォンヌが荒れていてそれをなだめる。
でもってリックの指示でイヴォンヌを家まで送りとどける役目を仰せつかる。
まぁリックに「すぐに帰ってこい」と言われているからそのあとはないんだけど。
「送っていけ」と言われての嬉しそうな表情がかわいい。
で「すぐに帰ってこい」と言われての「そんなあ」な情けない表情もかわいい。
残念そうに「伝書鳩みたいに」と返したところでせーこちゃんに「なにがハトよ!」と頭をバッグで殴られるのがかわいそうでまたいい。
ダメ男が似合うあたりくすぐられるわー。
最近コメディ系の役が続いてる気がするので、そろそろ重くて渋めの芝居も見たいな。
●ドイツ軍人のシュトラッサー少佐のともちんは本当に軍服が似合う。
かっこいい。
「また悪役っすか!」とは思ったけれども、華と威厳があるよ。
身長の高さだけではない圧迫感が『カサブランカ』世界におけるドイツを体現している。
ヒゲもいいっすよヒゲ。
●この公演で退団する萬ケイさん。
サムはすごくいい役だった。
リックのカフェのピアノ弾き。
売り上げの25パーセントを取る男。
芝居のはじめのあたりで、カサブランカでくすぶっている人々と歌う場面のいぶし銀のスターっぽさ。
カフェに人が集うのも、フェラーリさんが引き抜こうとするのもわかる。
彼のピアノが、歌が、人柄が客を惹きつけてやまない。
ドイツ国歌とフランス国歌の戦いのところで、ラズロの言葉を待っている視線がいい。
あらゆることを胸のうちに呑み込んで、でも誇りをもってしたたかに控えめに生きてきた、そんな人生を感じる。
アメリカの黒人として、国では辛酸をなめていたのだろうか、とか、舞台上ではあきらかにされない彼の過去に思いをはせる。
温かみがあって洒脱で苦くて。
最高だ。
これで退団ならすばらしい幕切れだと思う。
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コメント一覧
今さらのコメントですが…
ドイツ軍人の歌っていたのはドイツ「国歌」ではなく「ラインの護り」という愛国歌というべき歌でしたね…