『FLYING SAPA -フライング サパ-』を見たんだ・2

2020-12-30宙組公演感想,宙組

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・主人公のオバクに真風。

真風はよく芝居で記憶をなくすな……というのはさておき、記憶を失っても失う前も人を率いるリーダーになってしまうのは、オバク(サーシャ)の気質なのでしょう。
真風にとてもしっくりきていました。

下級生のときから「トップになる人」という目で見られていた真風のスター性と響きあうところもあります。

頭の良さと行動力、そして動物的なカンで危険を察知できそうなところ。
ミレナ(まどか)の問題行動にしても、性質はそうそう変わらないし、記憶は消しても情動の部分で残るところは多いっぽいな。

今回の役、色っぽかったですね。
特に夢白イエレナとのやりとりが。「お前は俺の体を知りすぎている」みたいなこと言ってたな……。
真風・夢白の絡みもしっくりくるんですよね。
なにげに身長差あるし学年も離れてるけど、夢白さんが大人っぽいからオッケー。

衣装もどれも似合ってました。
男らしい長身を生かす服。衣装担当は頼れる有村先生です。

真風オバクに一つ問題があるとすればセリフ回し。
なんか、いつもよりクセ強くなってなかったか?
「○○だぁ」の言い方が『オーシャンズ11』の「快感だぁ」を思い出し、ついでにまさお節を思い出したわよ。
そこだけ、もうちょっと、なんか……。
(オサとかまさおとかみたいに、トップとして長くなるとクセ強くなってくるのかも)

・ヒロインのミレナにまどか。

オバクに「娼婦の真似事」と言われるほど男たちをたぶらかす。
(ヒロインが娼婦の場合を除き)宝塚の娘役としては珍しい役どころで、童顔よりのまどかには一見しっくりこないようにも思える。
だが、だからこそ痛々しさもあり、また昔から持ち味は大人っぽかったから違和感はさほどありませんでした。

ニーナが難民ブコビッチに拾われ、辛い記憶を消されて娘・ミレナとして総統01の後継者となる。
けれど、ニーナ時代の記憶は消されても、感情の奥深くに希死念慮につながる傷が残っていたのでしょう(ミレナになってからもロパートキンたちが亡くなるという辛い経験がある)。
その翳りの部分と、SAPAのへそに向かう途中で、オバクのマジックに若い女の子らしい可愛さを見せるところがいいバランスで出ていました。

でも「ミンナ」についてからはちょっと……難しかった……。まどかのせいじゃないけど。
「ミンナ」と融合したニーナはただの意識体になったのか!?と思ったら、最後のシーンではふつうに出てきたし。
しかもいきなりハッピーエンド展開になるし。

いや、こんな重苦しいときだしハッピーエンドでもいいんだけど、展開が急すぎてびっくりしたわよ。今までのはなんやったん?的な軽さに若干あぜんとしました。

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