『蒼穹の昴』東京新公を見たんだ・3

雪組公演感想,雪組

白太太・愛羽さん

最も印象に残ったうちの1人、愛羽あやねちゃん。
本役はおいちさんの白太太を演じました。
ときどき名前を聞くアトムちゃんてのはきみかーーー!

幕開け、暗闇から聞こえるのは重さのあるいい声。
星読みの老女であり、また星そのものを司りもするような、なにかの予兆、運命の幕開けを感じさせます。

動き、声に年齢を感じさせ、また苦労のうちに備えた優しさのあるいい演技でした。

今までも芝居上手いなと思ったことがある娘役さんですが、これからも活躍してくれますように。

岡圭之介・エンリコ

新公の舞台短縮によりめっっっちゃ出番が増えた新聞記者とミセス・チャンたち。
エリザ新公のルキーニくらいにはやることが増えてた。カットした場面の説明を担わなきゃいけないからね。

3人ともとても上手かったんですが、岡さんを演じたエンリコ=苑利香輝くんが研1と知ってびびりました。
グラカンで初舞台って!! ついこないだやん!

芝居って、どうもセンスありきなところはあるのかなぁ……と感じております。
上手い子は文化祭や初舞台から上手いもんね。
学年重ねてもどうもなんか……な人もいるもんね。

だから彼がうまくても「まぁそういうことはある」なんですが、でも頼もしいったらありゃしない。

ところで私は勝手に「エンリコ氏」と名前を認識しているのですが、現時点での公の愛称は「いせ、えび」なのだった。
伊勢海老……?
秋田出身だから出身地とは関係なさげ。本名由来かしら。

黒牡丹・伊藤博文・しゃんたん

本公演と新公では演じる人の学年が違うため、本来の役とは違った雰囲気になることはよくある。
特に年齢を重ねた役は、どうしても新公の生徒の若さが出るもので、それは仕方がない。
新人公演は研鑽の場として存在するので、中年・老年の役を演じるのも勉強だ。

管理職や専科さんの役だと本役との差は顕著で、演技や役作りを本役に寄せることもあれば、新人公演で自分の持ち味や年齢・学年を生かすこともある。
どちらが良いとも言えない。

という前置きをした上で、ゆーちゃんさん演じる伊藤博文を新公で演じたのはしゃんたん。
公称174センチの威風堂々たる雰囲気の男役である。
どう演じるか……。

出てきたときのシルエットが違う。
シルエットが縦に伸びた。
ハンプティダンプティぽさのあるゆーちゃんさんとは違う。

若くて声にも張りがあるイケボ。
鼻の横のほくろはつけてきた。

どう寄せても寄りようにないので(似せるのは無理)、自分の個性を生かしたかっこいい伊藤博文でした。
新公学年にしては経験値もあるから、自分の見せ方を考えたうえでの役作りだとしたら素晴らしいですね。

しゃんたんは伊藤博文のほかに黒牡丹や龍舞の男Aなども担当。
本役のはいちゃん並みに八面六臂の活躍を見せてくれました。

他いろいろ

・わかなくんの李蓮英はわかりやすく悪役の作りでした。不気味さは低め。
本役りーしゃの底知れぬ感じと比べると物足りない気はするんだけど、あれ本役がすごすぎるからなぁ。

・ミセス・チャンのみちちゃん、可愛かった!
歌の上手い娘役さんだったと思うので、歌がある役だとよかったんだけど(そもそも娘役に役が……)。

・可愛いといえば楊喜楨の娘・青キン(漢字出すのめんどくさいのでカタカナ)役の星沢さんも。
彼女、今年入団したばかりの研1さんなのね。
もし『蒼穹の昴』の再演があれば、この役は将来性のあるキレイな娘役の顔見せ、みたいなポジになりそうだなぁ。

・聖海くんの光緒帝はやわらかい雰囲気。これはあがちんとの持ち味の差でしょうか。
声も優しいですね。

・譚嗣同自体がとてもよい役ですが、霧乃くんの譚嗣同もとてもよかったです。(本役はすわっち)
登場時の緊張ぶりも可愛く、でも最後の決断に泣かせる。

「僕には簡単なほうしかできないから」のセリフが、すわっちの場合は李玲玲から梁文秀への想いを重視したように見えました。
それに対し、新公の霧乃くんは清国の未来など、より大きな歴史の流れのための積極的な選択によるものに感じました。

・新公主演経験のあるさんちゃんが李鴻章。本役はカチャ。
可愛いイメージのあるさんちゃんですが、意外なほどヒゲも老け役(というほどでもないか)も似合ってましたね。

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