『蒼穹の昴』東京新公を見たんだ・2

雪組公演感想,雪組

李春児・一禾くん

全体に歌が上手い新人公演でした。

新公主演のかせきょーも、2番手の一禾くんも、3番手ののりぴーも、ヒロインのはばまいちゃんはもちろん。
ひめかとぶーけちゃんの徳齢・容齢姉妹に、次期トップ娘役が決定している夢白ちゃんも路線としては充分。
ほか、譚嗣同の霧乃くんや王逸の蒼波くんも聴かせた。
梁文秀・順桂・王逸の歌い継ぎやトリオもとてもよかったです。

雪組若手、歌ウマばっかりやなぁ……(いや、約1名あらららとなった人もいたが)。
これは歌えるジェンヌさんが多いのか、単に上手い人しか歌の場面を与えてないのかどっちだ。

で、2番手を演じた一禾くんですが、熱くて少年マンガ度の高い李春児でした。(本役のあーさはやや少女マンガ寄り)
「努力・友情・勝利」とか言いそうだもん。
星の宿命よりもざくざく運命を切り拓いていきそうな感じ。
何ならアレもちょんぎってなさそう。

「宦官」という言葉に感じる不気味さや哀れさ、儚さはあまりなくて、元気に笑い、元気に哀しみ、元気に憤る春児です。
どうしても頭に「元気」と入れたくなるのは持ち味なんだろうな。

でもそれが悪いわけではなくて、これはこれでアリなんじゃないでしょうか。

順桂・のりぴー

本役・そらちゃんの順桂を演じたのりぴーも上手かったです。
きちんと順を追って順桂の考え方や爆破への決断を見せていました。

そらちゃんよりはやや人間味のある順桂で、女官たちに囲まれているところはそらちゃんほどの付け入る隙もない感じではなかったですね。人の好い感じがする。

過激な雰囲気はそらちゃん順桂より低いので、襲撃への狂気にはやや弱かった代わりに、爆弾を毬と間違えて近寄った子どもをかばうところにしっくりつながりました。

王逸・蒼波くん

若手ながら雪組で反社専科と化しつつある蒼波くんが、まともな(?)役をやってる!!ということにまず感動してしまいました(笑)。
上手くて脇に置いとくだけではもったいない人だと思ってるので、路線の役ではないにしてもこれだけ大きな役が見られたのは単純に嬉しい。
歌、芝居ともにきちんと実力も見せてくれました。歌うまいですよね。
安定感のある舞台でした。

身長が高くて衣装の丈が足りてない感じだったのはご愛嬌ですね……ってご本人にはどうしようもないだろうし。

李玲玲・はばまい

ヒロイン・李玲玲ははばまいちゃん。
今回が2度目の新公ヒロインで、105期首席だけある実力者です。
最初の「ふわりふわり……」の歌は少し緊張が見えましたが、その後は美声を聴かせました。

演技もけなげさがあって可愛い玲玲。

ラストシーンの洋装はさすがの似合い方。
昭和の家庭にあったフランス人形みたいな感じでしたね。

西太后・夢白ちゃん

本公演では男役のヒロさんが演じている西太后を演じた夢白ちゃん。かっこよかったぁぁぁぁ!!
まだ若い夢白ちゃんが演じているだけあって、美貌が冴える冴える。
そりゃ仏にも喩えられるでしょうよ、と納得です。

やや小柄ながら強さのある娘役でもあるので、男役ばりの存在感と圧も見せられる。
決断力があって人を従えるに足る大きさがあります。
西太后という歴史に名を残す女帝(正確には違うのでしょうが)にふさわしい演技でした。
やや歌舞伎がかった芝居も、本役のヒロさんを踏襲しながらあの役にはしっくりくる。

予想どおりといえば予想どおりですが、いいものを見ました。

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