『My Last Joke-虚構に生きる-』感想・2

星組バウホール公演『My Last Joke-虚構に生きる-』、10月24日(火)11:30と15:00の回をダブル観劇し、10月29日の千秋楽をライブ配信で見ました。
気付いたら1ヶ月くらい経ってますが、記憶とメモを元に感想を残しておきます。

・配信はバウ千秋楽。
日曜午前という珍しい時間だったのは、ミーマイ博多座配信との兼ね合いだったんですね。

X(Twitter)で知った情報によると、2022年の宝塚のライブ配信は42万人の動員があったのだそうで。
本公演に比べるとバウを見る人は少ないだろうけれど、それでもきっと無視できない数があるのでしょう。
ライブ配信、ほんとうにありがたいです。
仕事などの用事がなければチケット難公演でも見られますから。

・千秋楽だからだと思うんだけど、アドリブあり。
どこまで決めてたのかわからないけれど、新聞社に登場するときにセリフにセルフエコーかけるまっきーに、「失礼しますまーすまーす…」とつんつんが乗ってきたと思ったら、天飛までセルフエコーかけて登場してきました。

最後の場面でみきちぐまで「天才かもしれんれんれん…」うまく乗って締めた。
このアドリブのおかげで「お前もか」のみきちぐトマス・ホワイトのセリフの意味合いも変わりました。

・開演アナウンスから陰鬱な声のエドガー・アラン・ポーのあまと。
基本、暗い話だからねぇ。
よく言えば耽美なんだけど、演じてる人があまり耽美じゃない。

舞台の初めから登場する「大鴉」。エドガーの死への潜在意識を表す役ですごくおいしい。
エドガーも死にとらわれた青年で、24年組が大好きで昔は文学少女をやってた身としては懐かしく慕わしいモチーフである。
が、やっぱり耽美じゃない(笑)。
もうこれは、かれらの演技力うんぬんじゃないところの問題だもんな、たぶん。

大鴉=もえかはこっちゃんのコンサートでオネエなカラオケ店員をやってた印象が強すぎて……。
たぶん演じる人によってはエドガーあまととの同期萌えがものすごく発生する役どころです。

・もいっこいえば、さりお演じるルーファス・W・グリスウォルドとあまとエドガーの関係性もすごくいいんですよ。腐った女子的には。

舞台の終盤、さりおグリスウォルドはエドガーに「君が羨ましくて」云々と告白したあとに、「今のお前の作品はダメだ、過去の作品の焼き直しだ、読者をバカにしている」みたいな感じでエドガーを追い詰めるんですよ。
どう見たって愛憎BLじゃないですか……。

以前、(きわみバウのときだったかな?)役柄の関係性としては腐的な萌えが生まれるのにこの2人だと萌えねぇ……。びっくりするほど萌えない!と思ったことがあるんですが、その「萌えない」リターンズです。
最後のほう、さりおがあまとを追い落とす流れはめちゃくちゃ歪んだ愛憎ですよ、殺伐系BLになるやつですよ。例えば花組路線男役だったらだいたいどの組み合わせでもいけると思うわ。冬霞リターンズですよ。

なのに、演じてるのがさりおあまと……。健全にしかなりようがない。もったいない。
と、しょうもないことを思って観てた2回目。
というか、かれらだと腐った方面の萌えに発展しなさすぎて、一周まわって面白いかもしれん。

耽美寄りな作品でも暗くヤバくなりすぎず、あくまでヒロインとの愛が軸になるのがいいところなのか……?

・という、私のなんかアレな感想はおいといて。

実母を亡くす幼少期、義母を亡くす少年期から、詩ちゃんちで暮らしてる青年期まで同じ衣装で一続きに演じ分けるあまと、さすがに演技が上手い。
ちゃんと演技で年齢や感情を出せるんですよね。

・「会いたいってどうして」とクールに言いながらにまにまが隠し切れないあまとエドガー。
青年なのにおじさん味がある。
じっさい、ヴァージニアの年齢からしたらおじさんかもしれん。

・「ダメじゃないか、勝手に入ってきたら」「ダメじゃないわ」の件を何度も繰り返して2人の距離の近づきが見えてくるの面白いな。
かのんだけにカノン形式…?(言ってみたかっただけ)

・性格や設定は言っても詮無いのでおいといて(でも言うけど)主人公・エドガーはヤバい男ですが、エドガーのキャラクターはともかくあまとは上手かった。
さすがの実力派。
歌も芝居もダンスも上手い。
「真似でMoney Money……」とあいみちゃん(=ヘンリー・W・ロングフェロー)を追い詰めるところなんか滑舌はいいし声もいいしで楽しくなってしまう。

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