ちゃぴさん主演のミュージカル『マリー・キュリー』を観てきました。
4月22日(土)18:00開演、雪組初日のあとに当日券でチケットゲット。
興行としては前売でチケットがハケたほうがいいのかもしれないけど、私みたいに評判を聞きつけてチケットを取る層もいるわけで、当日券があるのはありがたいです。
元が韓国ミュージカルのこの公演はTwitterなどですこぶる評判がよくて、しかも主演がちゃぴさんということもあって観に行ったのですよね。
評判通りの面白さ、素晴らしさでした。
キュリー夫人として知られるマリー・キュリーが主人公。
かつて「マリー」と名前で呼ばれていなかったことに象徴されるように、彼女は「どうして女がここに」「女のくせに」という扱いを受けたり、性別と国籍の2重のハンデで大学やその界隈から疎外されていました。
それでもマリーは科学への情熱に邁進します。
志を同じくする夫との共同研究は、自らを人体実験に使う危険なものもあり、探求心と狂気は紙一重にも思える。
また、新発見した元素(ラジウム)は未知の物質。それゆえ、悲劇的なものも含めて予想外の結果も引き起こすのだけれど、その扱い方、責任の取り方にも考えさせられるものがありました。
ラジウムを使う工場の操業停止と、放射線治療の継続と。
私は知らなかったのだけれど、これはかなりフィクションの含まれた話。
あとから演出家・鈴木氏のTwitterで知ったのですが、「実際のマリー・キュリーはラジウムの人体に及ぼす悪影響について、生涯、はっきりとは認めていなかった」のだそう。
だから「ありえたかもしれない」もう一人のマリー・キュリーの物語、なんですね。
「ありえたかもしれない」の部分は、サブヒロインともいうべきアンヌの存在も大きい。
ソルボンヌに向かう電車の中で出会った彼女はマリーに大きな影響を与え、友人であり、またマリーの影の側面も持つ。
ラジウムによる好景気の中で、被爆し、放射線障害になるという負の側面を担う。
一方で、視力を失った少女の放射線治療にもラジウムは使われ、両面の功罪に向かい合い、科学への情熱を失わないマリー。
負の側面にも向き合うけれど、社会はマリーの警告を取り合わず……という苦さもある作品です。
主演はちゃぴさん。
言わずと知れた、元月組トップ娘役の愛希れいかさんです。
芝居の冒頭が死を前にしたマリーの場面だったんだけど、老い方が見事で、ちゃぴさん何歳だっけ?人生何周目?って思ったわ。
『エリザベート』も少女期から老年まで演じるから、その経験が生きてると思う。
知的で頑固な中年女性になりきっていた。
そこから一気に舞台上の時間が戻って、ソルボンヌ大学入学のためにやってきたシーンへ。
高校生が大学生になるのとは違って、家庭教師などをして資金をためていたみたいだから20代にはなってるのでしょう。
それでも急激に若返ったことにちがいなく、声のコントロールやはつらつとした動きに、それでいてどこか挙動不審な、コミュニケーションがあまり得意でなさそうな雰囲気。
女優としてキャリアを積み続けているのが頼もしかったです。
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