『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』感想・4

2022-09-05花組公演感想,花組

花組東京宝塚劇場公演『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』、9月4日(日)13:30の回をライブ配信で見ました。
東京千秋楽です。

たしか宝塚大劇場では全日程公演できたけれど、東京ではコロナ禍に見舞われて1ケタ回数しか上演できなかったんですよね。
東京初日が延びてようやく初日が迎えられたものの、数日でまた公演中止に。
再開日はまたも延びに延びて、新人公演も中止。
なんとか千秋楽だけは上演にこぎつけました。

そのような状況下だったため、通常の千秋楽としての高揚とはまた別の神妙な雰囲気にも包まれた千秋楽と感じられました。

開演前のかれーちゃんのアナウンスも特別なものでした。

「本日、皆様とお目にかかり、千秋楽公演をさせていただけますこと、出演者一同心から感謝をしております。皆さまからの想いを胸に、本日の千秋楽公演、大切にお届けいたします」

かれーちゃんのお言葉がありがたいやら勿体ないやら。

出演者にとっても久しぶりの舞台で、これが最後の舞台となる人もいて。
熱の入り方も凄かったですね。
私は大劇場で初めのころに観て以来の舞台で、そのときには感じられなかった深みがあったように思えました。
これは3回目の鑑賞で気づいたところもあるでしょうし、ジェンヌさんたちが上演を重ねて深めていった部分もあるでしょう。

音くりちゃんのラプリュナレド伯爵夫人には、象牙の戦いでの「もういいわ!もうたくさん!」の叫びに、捨てたリストへの情の残り香を強く感じました。

ダグー伯爵のつかさは高慢な貴族としてのプライドと、去った妻への許しがたい思いと不器用すぎる愛情が。

ショーではエトワールもえかちゃんの劇場を見渡す視線にぐっときました。

あと、えいちゃんへの餞別ぶりね。
路線ではないダンサーでここまでいい扱いだと嬉しいだろうなぁ。

組長のあおいちゃんは落ち着いた――を通り越して、しめやかに退団者の履歴やコメントを紹介。
大劇場楽では退団者各人のキャラに寄せた話し方だったとお聞きしましたが、さすがに東京ではできないですよね。

えいちゃんが『冬霞の巴里』の前に退団を決めていたというのにびっくりしたわ。

退団者たちは皆さんそれぞれに素晴らしいご挨拶をされました。
トップのかれーちゃんと退団者4名だけの場面でもみな最後の言葉を残し、観客も感極まっているところでなぜかダチョウ俱楽部のネタが(笑)。
まさかそういう仕込みをしてくるとは……!

ともかくも、袴姿で大階段を降りる4人を見られてよかったです。
「終わり良ければ総て良し」とはいえませんが、それでも、一つの儀式をきちんと終えられたことにほっとしています。

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