『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』感想・1

花組公演感想,花組

花組大劇場公演『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』を観てきました。
6月11日(土)と12日(日)の各11時の回です。

楽しかった――――!!

Twitterとかでの評判はそんなに……って感じだったんですが、私には合う。
楽しいじゃないか。
やっぱ人様の評と自分の感覚は別もんだな。自分で観てナンボですわ。自分が正しいってわけじゃなくて、自分にとって楽しいものや好きなものを探すのが大事だから。

出演者が美しくて技量が高いのと、絵的に美しいのと、演出が派手なのと、登場人物(役)がたくさんあるのと、音楽が楽しいのと。
生田センセイはイケコの弟子感があるんですが、舞台の見せ方とかほんとうまいよねぇ。
盆が回ったりセットつきのセリが上下すると嬉しくなる(単純~~)。

フランツ・リストさん、たしかに感情移入しやすいタイプじゃない。
別にいい人でもないし。
でもそれがなんだというのか。
「フランツ・リスト」という人物の移り変わりーー栄光と、恋と、野心と、そして精神の安寧と――という流れが面白かった。

社交界で華やかに尊大にふるまっていたり、ハンガリーで場を得て名誉と野心に生きている場面は、驕慢な美しさのなかに滑稽さもあって、人とは、若さとは……なんてことを思ったりもする。
そんなかれーちゃんリストが魂の彷徨の果てに神に仕えるようになるというのも、振れ幅の大きい人生だと思う。けれど、かれーちゃんが演じるとどこかしっくりくるんだよね。

少年リスト役のみそまるがまた上手くて。
宝塚としてははみ出しそうなほどの表情で、幼き日のリストを演じる。

音楽院の門を閉ざされたときの痛々しさ、神童ではないと知らされたときの絶望。

ショパン=マイティーに出会ったときなんて、ほんとすごい顔をするんだ。
光を見た、などという美しいものではなくて、かれの魂のためにショパンが必要だったのだと、ショパンなしではリストは生を享けられなかったのではないかと思うほどに。
あの感情は、あえていえば「狂」だろうか。

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