『バイオーム』を見たんだ・1

OG

東京建物 Brillia HALLで上演されたスペクタクルリーディング『バイオーム』の配信を見ました。
演出は一色隆司さんで、作が皆さんご存じ上田久美子氏。
出演者は7名の「朗読劇」をベースにした作品ですが、かなり演劇の要素が入ってます。

6月11日(土)17:00のライブ配信ですが、私はその時間は宙組のライブ配信を見てたもんでね……アーカイブ配信があってありがたいです。
しかし花組大劇やら宙組ライブやらもあって脳内がシェイク状態よ(笑)。(シェイク言うな)

あのウエクミが宝塚退団後初めて手掛けた作品であり、宝塚ではできないスミレコードもぶっちぎってるという話。
なので、見るのに戦々恐々としてた部分もあるのですが、思いのほか気持ちよく終われました。
予想してたより重くなかった。いや、エグいところもあるし、じゅうぶんに重い話なんだけど。

これは物語で語られる闇の部分が私にあまり刺さらなかったというだけなのでしょう。自分の世間でのポジション的に。
たとえば嫁に行ってたり、「総領娘」として跡継ぎを生むことを求められてたら、登場人物を自分と重ねてしまって辛かったかもなぁ。

なので「あー、こういう地獄あるよね」「うわ、きっついなぁ」と思いつつも、距離をとって芝居を楽しめてしまうのですよね。
(もっとも、気づいていないだけで後から何かの折にじわじわと蝕んでくる可能性はあるな……)

楽しめた理由の最大のものは、もちろん役者さんたちの力量。

なんなんですか、あの方々!!

役者って化け物やなぁ……と思わずにいられませんでした。

特に花總さん。
言わずと知れた元宝塚歌劇団雪組と宙組のトップ娘役である伝説の娘役の花様です。

現役時代の花様は生舞台を見ずじまいで(そのころはチケットの取り方もよくわかってなかった)、花様を見るようになったのは退団してからです。
『エリザベート』などいくつか見ました。
それらだって十分すぎるほどに素晴らしい出来でしたが、今回はそれらの感動を上書きするほどの凄さでした。

なんで生まれたばかりのクロマツの芽(超絶ピュア)と、精神疾患をかかえてアルコールと怪しげなセラピーにはしる政治家の妻を自由に往還できるのよおおおお!!

さすがマリー=ハナフサ、役の年齢も性格も問わない演技力。
純粋な幼いクロマツの芽から、狂気をはらんだ怜子への変わりようといったら。
1人の人間が演じているとは思えないほどです。
上手すぎて怖い。いや、上手いっていうかなんていうか……わけわかんないよね。

出演者はみな2役を演じます。
植物と人間です。(そうじゃない人も1人いますけどね)

当初は植物と人間の役には関係ないと思いながら見ていたのですが、実際にはたぶんあるだよね?
家政婦・ふきの秘密からするに。
ウエクミがそのへんを適当に配するとは思えんし。

だからこそ、クロマツの芽(花様)がルイ(中村勘九郎氏)の手をとっていっしょに行くというラストに泣けるんだよね。幼いもの同士だけれど、親子だから。
人であったときは向き合えなかった2人が、庭を離れてようやくありのままに素直に手を取り合える。

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Posted by ゆきたろ