『異人たちのルネサンス』感想・3

宙組

宙組宝塚大劇場公演『異人たちのルネサンス』の感想の続き。

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作・演出の田渕センセイ作品でいつも思うのは登場人物の性格のヤバさ。
別に聖人君子を主人公やヒロインに据えろと言いたいわけじゃない。ダメさゆえの魅力もあるからな。
(トート閣下だってストーカーやで)

田渕センセイ自身は「かっこいい男役」「麗しい娘役」を真ん中に据えようとしているように見える。
傷があっても影があっても、あくまでも魅力的な人物。
喧嘩っぱやかったり、頑固だったり、幼さが残っていたり、あるいはピカレスクロマン的な悪徳に満ちた素敵な登場人物。
マサツカ作品に出てくるクセが強い変なやつじゃなくて、わりとストレートにかっこいい役を描こうとしているように見えるんだよね。

問題は、中身がまったく伴ってないってことだ。

まず、まどかのカテリーナ。
ふらふらと「小鳥が~」と出てきたから、心を病んでる役なのかと思った。状況的に病んでてもおかしくないけど、たぶん演出家的には病んでないよね?
「印象的なヒロインの登場シーン」をやりたかっただけだよね?

メディチ家の籠の鳥状態のカテリーナを見かねた真風レオナルド。
カテリーナに「心のままに生きろ」「自由になれ」みたいにそそのかすけど、カテリーナの事情をわかった上で言ってんのかなと言いたくなる。

カテリーナ、美貌しかない娘よ?(たぶん)
後ろ盾もないに等しいのよ?
一人でどうこうできるの? あの時代の女性が。

真風レオナルドが「俺が守る」的にかくまうわけでもなく、そんな気配もないので、「ろくな考えもないのに焚き付けてんじゃないよ!」と首根っこつかんでゆさぶりたくなったわ。
レオナルドがすごく無責任な男に見えて。

で、焚きつけられたまどかカテリーナ。
レオナルドの工房で飛行機械(コウモリっぽい)を背に両腕を広げて「空を飛んでるみたい」みたいなこと言ってたけど、それどう見ても鳥じゃないから。
染まりやすすぎて心配。
だいじょうぶか、だいじょうぶじゃないな。しっかりしろ。

それか、ずっと男の気持ちに添うように生きてこざるを得なかったから、ついいつもの癖でレオナルドが欲しがってる言葉を読み取ってしまっただけか。
不憫や~。

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Posted by hanazononiyukigamau