月組『エリザベート』感想・3

2020-12-26月組公演感想,月組

たまちゃんトートの話の続き。

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腐った女子の楽しみの一つは、トートとルドルフの闇広から死のキスまでの一連のシーンです。
なんなら一番の目玉というか……って、そりゃもちろん言いすぎだけど、基本オペラでロックオン、ぼんやりすることなんて考えられないような場面ですよ。
で、もちろんハフハフしながら観てたんですが――、

耽美じゃない。

たまちゃんといいおだちんといい、どっちも耽美属性の人じゃないもんなぁ。
月組ィィィィ!!って感じの、お堅さがある。
どっちもまっすぐ。生真面目に芝居してる。

おだちんルドルフには死に向かう危うさがなくて、帝王教育の結末として自決したように見えた。
顔もかっちりしてるから、演技以上に生真面目な皇太子と思えたのかもしれない。

たまちゃんトートは包み込み見守るような包容力あるトートで、前にも書いたとおり母性を感じる不思議な「死」。
なので「命奪った」というより、ルドルフの選択した「死を引き受けた」ような感じだった。
ルドルフにキスするのも、そうしないと彼がちゃんと天に召されないから。
やってやったぜ的なニヤリはもちろんなく、あっさりと闇に溶けた。

ルドルフの葬儀でシシィは「死なせて」とトートにすがる。
トートはこれ幸いとシシィを手に入れようとする流れなのだが、ここでもたまちゃんトートは包容力にあふれていた。
腕を伸ばしながら「可哀想に。こっちにきたらヨシヨシしてあげるね」と言いそうな感じ。
あの世に行ったら手料理でもてなしてくれそうである。
もちろん作るのは黒天使ではなく、トート閣下自らだ。白いエプロンをつけてくれていてもいい。

たまちゃんファンには怒られそうな感想だが、すごく面白かったのは事実である。
(もしかしたら、1幕から観てたら別の感想だったのかもしれない)

そんな感じに「お母さん」なトートだったのだが(あくまで私見です)、フィナーレはとっても「男」であった。
たまちゃぴのデュエダンは何度リフトがあっただろうか。
たまちゃぴのデュエダンもこれが最後か……としみじみした。

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