『鉄道会社がつくった「タカラヅカ」という奇跡』を読んだんだ

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ポプラ社の新書、中本千晶さんの『鉄道会社がつくった「タカラヅカ」という奇跡』を読みました。

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「タカラヅカはなぜ勝ち続けられるのか?」をテーマにした本で、宝塚歌劇が100年以上存続できているシステム的な理由や、ファンの心理などに言及しています。

面白かったのはかつて隆盛を誇った松竹歌劇団や日劇ダンシングチームとの違い。
タカラヅカは「レビュー劇団」であり続けながらも、自己否定し続け、結果として「ミュージカル劇団」への転換に成功したことが存続の理由の一つとして挙げられていました。

もう1つ興味深く読んだところ。
「タカラヅカ200年の計」として今後のタカラヅカ存続の方策について考えています。
その中に、OGについて言及されている部分があります。

 もう一つは、タカラヅカOGの安易な言動が、これまで鉄壁の守りで固められてきた「夢の世界」の牙城を崩してしまう危険があることだ。人間界に降臨した元フェアリーに対して世間が向けるのは、「夢の世界の内実」への好奇の目である。
(中略)
 自分を安売りする生き方は絶対にお勧めではないが、フェアリーも人間に戻ったときは食べていかねばならない。まして劇団と良い関係でなかった人から、逆恨みから意図的に逆襲されるリスクだってある。

 おそらく「あれはダメ」「これはダメ」と厳しい統制によって縛るのは現実的ではないだろう。それよりも、万が一何かあった時もすぐにリカバリーが効くようなトータルな信頼関係を築いていくことが今後は大切になってくるのではないか。

毎年約40人生まれるタカラヅカOG。
スミレのベールが取り払われた後は生身の女性が表に出てきます。
がっかりさせられることもあるのでヤバそうなところはあまり積極的には見ないようにしているのですが……それでも目に余るときも。

「元ジェンヌ」を売りに暴露ネタなどを使えるのは、それはあくまでも「タカラヅカは夢の世界」「清く正しく美しい」という表向きのイメージあってのこと。
暴露はこの表向きのイメージを損なう行為で、あたかもタコが自分の足を食おうとしているようなもの。
OGそれぞれに事情はあるでしょうが、自分の首を絞める行為だけでは芸能界でも長くは続きますまい。

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