『新源氏物語』感想・2

花組

子供のころ、私の家にあったマンガは学習漫画(ことわざとか歴史とか百人一首とかを覚えるやつ)と大和和紀の「あさきゆめみし」だけでした。
ゆえに『源氏物語』のベースは「あさきゆめみし」。これはもう揺るぎようがない。

今回一番驚いたのが、右大臣家側がコミカルパートだということでした。
弘徽殿の女御を中心とした右大臣家=光源氏や母・桐壷更衣を追いつめる=悪役=怖い! の図式をくつがえすような軽妙な演技で、度肝を抜いてくれたのでした。
そうか、こういう描き方もできるんだなぁ……。

弘徽殿の女御の父・右大臣を演じたタソ。
すごすぎ。
学年差いくつよ! なのに違和感なし。

「しっかり、してますよ」のセリフは、さらりと場をさらっていく。

それでもさすがに光源氏が須磨に隠棲する際には嬉しそうに笑うのだけれど。
コミカルパートを担っていても、それだけでは終わらない。

対する左大臣家。
光源氏の親友・頭中将を中心とし、光源氏の味方=優しい、いい人! な形。
基本的にこの路線は変わっていませんが、「あさきゆめみし」での印象ほどではない。

ふみかさん演じる左大臣があまり好々爺っぽくなくて、穏やかだけど政治家の雰囲気を持っているのが理由の一つ。

そして、瀬戸くん演じる頭中将が名前は出さずに夕顔の話をするところ。

――通っていた女がいたけれど、いつの間にかいなくなってしまった。妻が弘徽殿の女御の妹だから、弘徽殿の女御のさしがねにちがいない。可愛い女だったのに。

と、自分の浮気は完全に棚上げ、弘徽殿の女御が嫌われる言い訳にしている。
もちろん当時ではこんなの浮気として責めるほどのものか、浮気だとしてそれを追い払うのはいくらなんでも驕慢ではないか……というところだろうけれど、現代に生きる私には「なに勝手なこと言ってんだ」である。
自分の不実を詫びる気持ちや、夕顔を守れなかったことへの悔いなどが全く感じられなかっただけに。

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花組

Posted by hanazononiyukigamau