『THE KINGDOM』感想・３
●月組の実力派揃い！ といった感じのこの公演でしたが、中でも一番好きだったのはスミス演じるハワードです。
なんとセリフの間のいいこと。
頭だってちゃんと働くのにどこかとろくさくて間が悪くて軽くあしらわれている情報部員を好演。
ドースンたちが話しているときも役として椅子に座っている。
ハワードとして椅子に腰かけ、考え、反応し、ウザがられる（笑）。
彼のする小芝居が、存在感がないわけじゃないのに決して真ん中の邪魔をせず、必要なときはパッと前に出てくる。
このバランス感覚のよさと言ったら！
今回一番すごいと思ったのは彼だわー。
ちょっと前のめり気味な体勢が彼の性格を現しているようで、「立ち方も演技のうちなのね、さすがねー」と思っていたが、役を離れた場面でも若干重心が前にきていたので、単にスミスの癖なのかもしれない。
●ほんの一場面だけど、アッシャー役のジョーもよかった。
「今夜は眠れないな」の宝石を愛おしむような声音がよかったんだ。
ジョーは悪役より人の好さがでる役のほうが似合うんだろうなぁ。
この芝居の最初のほうでサーシャに絡む悪漢＝レノックスも演じてるけれど、アッシャーのほうがよかったし、『ルパン』新公のトニー・カーベットもそこはかとなく根が善人くさかった……。
そういう持ち味の人なのかな。
●革命家・ヴィクター役の蓮くんはうまい。
めちゃくちゃ下級生なのにうまい。
革命家たちが集う場面で歌ってたのは彼だよね？（まだ顔を覚えきれていないもんで……）
２幕初めの取り調べを受ける場面、追い詰められて焦りが生じていくさまがとてもよかった。
１幕でイワノフと距離が近づいていくジェニファーを見ている様子も。
蓮くんは芝居と歌の両方ができるというのが強いですね。
●ホームズは変なテンションのむつかしそうな役。
これに佳城くんが真正面からがつっと取り組んでました。すげぇわ……。
劇団的には彼をバイプレイヤーとして育てていきたいのかな？
●月組の若手、芝居うまいわーと思った公演でしたが、すごいのはこれが小公演だということで、別動隊（博多組）にも芝居ウマの歌ウマがいるということです。
ああなんて頼もしいの。
