『月雲の皇子』感想・4
●ハッチさん演じる青の、腹に一物ある感じがよかった。
鋭さ、野心、したたかさを、王家への忠誠心という皮にくるんでいる。
凄身と色気があって、大中津姫とは愛情はなくとも性的な関係をもっていたのが納得できる。
●たまきちの木梨とちなつの穴穂の舞比べは、源氏物語における光源氏と頭中将が青海波を舞う場面をみるようだった。
美しい若者2人が並んで踊るというのはいいよなー。
この場面や雨乞いのシーンなど、ショーアップされた場面が不自然でなく設けられているのがよかった。
「若手に出番がないから」
「とりあえず見せ場を作らなきゃ」
「歌ったり踊ったりしないと地味になるし、観客が寝ちゃうから」
――という事情のためだけに村祭りの場面を入れましたー! って感じの芝居がよくあるんだけど、不自然に作られたシーンって観ている側としてもどうしても気が乗らない。
(それでもないよりマシなことが多々だけどね)
芝居の流れに乗せたうえで、きちんと必然性のあるショーアップされた場面になっていた。
●戦いに行く場面のライティングがかっこよかった。
横から2回、背後から1回だったかな。
●下級生にも女役にも見せ場があって、いい芝居。これぞ小公演、これぞバウ。
2幕の、大中津姫と蜻蛉の会話はよかったなぁ。
●衣通姫のセリフが詩的でよかった。
きちんとおぼえていないけれど、「花が天に向かって咲き、川が海に向かって流れるのをなぜかとお問いになりますか」というようなもの。
(穴穂が夫である自分ではなく、流刑者である木梨に想いを残しているのはなぜだと訊いてのセリフだったかな)
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