『JIN-仁-』感想・3
感想の続き。
●ところでよくわからんこと。
(原作のマンガは10巻あたりまでしか読んでおらず、ドラマは見たことがない)
花魁の野風も夕霧も「おさらばえ」と言って去り、結命も野風も乳癌にかかっており、結命と咲は同じ顔をしている。
この関係をどうとらえたらよいものか。
たとえば、野風が生まれ変わったのが結命で――、というのであればわかる。
同じ人(転生しているが)が似た運命をたどる、という相関関係がみえるからな。
また、野風と夕霧がかかった病が同じで、生死を別にしてともに「おさらばえ」と言って去る――、というのであればわかる。
誰かと誰かが対照化されてるという図式がきちんとみえるからな。
そうではなく、四方八方好き放題に枝が伸びて勝手にくっついて、という形が、私にはどうも据わりが悪い。落ち着かない。
現実世界ならきちんとした相関関係など生まれようはずもないが、これは作り物の世界だからねぇ。
ある程度、きれいな形で収まるべきものだと思うんだ。
これは原作の問題か演出の問題か、また、そもそも「問題」なのかすらよくわからないが……。
●今回で退団の、夕霧役の杏奈さまは、最後に大輪の華を咲かせた。
存在のしかたが美しい。
舞台セリ上で、華やかにスポットライトを浴びて「おさらばえ」と去っていく姿は、彼女の退団とあいまって泣けた。
本当にいい退団演出をしてもらったなぁ……。
「おさらばえ」が本当に美しくて、泣けた。
●野風のあゆは、遠目ならいいけどオペラで見ると顔がどうも…。
丸くてかわいい顔が、現代アメリカの女子高生などならいいけど、ぷっくりした頬が、日本物時代劇白塗りでは映えないのか。
あるいは花魁としてトップを張る権高さには似合わないのか。
ビジュアルがハマらなくて損をした。
見た目はともかく芝居も歌もよかったと思う。
看板を張る者としての意気の高さが声音や雰囲気によく出ていた。
また、夕霧とのやりとりは、禿時代からの心のつながりと、芯にある優しさを感じさせた。
「ルロンさんを愛しているのですか」と聞かれて、高笑いののちに「いいえ」と一言のもとに切り捨てるさまにしびれた。
●ところで野風は乳癌をどうしたんだろう。
手術をしたという描写はなかったはずだし、また、乳癌手術をして乳房を失ったら身請け話はなくなるとも言っていたし。
「胸がなくなっても私を愛してくれるかしら?」と言った結命のセリフが思い出されるが、手術して胸をなくした野風を愛のもとにルロンは身請けしたのだろうか。
それとも、恩のある鈴屋のためにルロンに乳癌のことは言わず嫁いだのだろうか。
だとしたら仁にわざわざ乳癌の有無を問う必要も感じないしなぁ……。
病なら病で、わかった上で身請けされたかったのかな?
《追記》10/25 18:05
野風はちゃんと乳癌の手術をしてました。
ボケててすいません。
●野風を身請けするルロンの大ちゃんは、これまたハマり役。
アニメ的に浮いて、変なところが(笑)。
知ってたことだけど大ちゃんはでかい。
宙男の中でもでかかったんだから、雪にきたら巨人である。
ルロンを囲む人々が小柄だもので、余計に大ちゃんの大きさがとっても「異人」「黒船来航」である。
江戸時代のフランス人として、ビジュアルだけで納得した。
ディスカッション
コメント一覧
野風の手術、してましたよ。確か仁友堂完成祝でケイさんが銀橋で歌ってる時に舞台奥で手術してました
乳房温存して、妊娠は再発の危険性を高めるから避けて欲しいのに野風は妊娠したから「先生、それは二人だけの秘密」と言っていたのかと思いました。そこで「おさらばえ」に続いてるんじゃないでしょうか
結命と野風の乳癌は…ドラマの踏襲でしょうね。ドラマでは仁の現代の恋人が野風とソックリでしたから
そういえば、橘結命は、村上先生から仁先生と咲の子孫はNG出されたそうです
>のどか さま
すいません、手術してたこと、完全に頭の中から飛んでました。
ていうか、プログラムの第12場のところにちゃんと「仁の手で手術を受けた野風は」云々と書いてありましたわ…。
妊娠すると再発の危険性が高まるのは知りませんでした。
勉強になります。
すみません、妊娠したら再発率上がるのは、術後の放射線治療やホルモン治療を中断するからで、野風には術後の治療は無理だから当てはまらないとのお話を現役看護師さんから頂きました…
でも、機材がないからリンパ腺への転移してるかもわからないし、あったら取り除けてないので、体を大事にしなきゃいけないから妊娠して大丈夫なのかという意味だと思う…との事です
誤情報申し訳ないですorz
>のどか さま
確認していただきありがとうございます。
術後の治療、まずムリですよね…。
とりあえずウィキをみましたが、「転移した癌で長くないことを覚悟している」そうで、ほんとうに「おさらばえ」になりかねないわけですね。
おおよそのことがわかってるであろう仁先生の表情が、すごく気になります。