『クラシコ・イタリアーノ』感想・1

派手さはないけどじんわりくるいい芝居でした。

初日を観たときは良さがそれほどわからなかった。
「何度か観たら寝ないかな」とさえ思った。
が、そうじゃない。
回数を重ねると良さがもっとわかる。

会って2日目に「イタリア中のテーラーを回って、あなたの作るスーツのすごさがわかりました」と言うレナード(テル)に、サルヴァトーレ(ゆうひ)が言う。
「ナポリスーツのよさはそんな簡単にわかるもんじゃない。ずっと着続けてわかるものだ」と。
(セリフはうろ覚えですが、大意としてこんな感じのことを言ってました)

その言葉を思わせるような舞台でした。
と言って、2回以上みなきゃ面白くないというわけではないです。

全体的に場面は落ち着いていてショーアップされているところは少ないけれど、一場面一場面が短くなっていて飽きさせない。
つなぎ方がきれいだから唐突な感じもしないんだな。
みている側が芝居に感情を乗せられる。

ゆうひさんの持ち味なのか景子センセイの趣味なのか、「クラシコ」な舞台。
きちっとしていて温かくて人情味があって…ほんとうにサルヴァトーレの作るスーツを思わせる。

そして主要な登場人物がちゃんと感情移入できる性格をもっている。

クールでとっつきにくそうだが誰よりも人情のあるゆうひさんのサルヴァトーレ。

ドジで回りを困らせるけれど一生懸命に前向きに生きるすみ花のミーナ。

サルヴァトーレに触発されて自分の生き方を振り返るテルのレナード。

苛立ちや職人としての頑固さが前面に出ていたけれど、酒場のシーンでイタリア男の陽気さもみせたみっちゃんのマリオ。

奥さんと生まれてくる子供のいる所帯持ちの生活感のリアルさがある、陽気なちーちゃんのペッピーノ。

戦災孤児であったサルヴァトーレを引き取り、育ててくれた汝鳥さんのアレッサンドロ。
そのころのサルヴァトーレは頑なな問題児であったにも関わらず、施設職員の反対を押し切ってまで。

サルヴァトーレを諦めて、「クラシコ」を貫くために貴族と結婚したまゆみさんのクラウディア。

「クラシコ」を教えてくれる人、理想を取り戻すきっかけをくれる人、生きる場を与えてくれる人…。

彼らがきちんと関係を持ち、互いに影響しあっているのがいい。
人とつながり、本当に大切なものはなにか、生きるとはなにかを考えさせられる。
お説教ではなく、情の部分に沁み込んでくる。

押しつけがましくなくそういうことを描ける景子センセイと、それをきちんと誠実に演じられる役者たち。
いい舞台をみたな、としみじみと感じます。

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