『ハウ・トゥー・サクシード』感想・4

雪組

●ヒメのミス・ジョーンズのやりきり感が素敵でした。
あんなにすっぴんがかわいいのに、細いのに、歩き方その他で黒人のおばさんしてる…!
のしのし歩いてる。

タイプライター打ってるときのマジな顔が怖くて好きです。

そして最後は持っていかれたねぇ。
歌いあげがかっこいい。

●やりきってたといえばバドのちぎたさんも。

美貌ってなんだっけ? なレベルで変顔と変なしゃべり方と変な動きを繰り出す。
おかあさんに電話してるときの体のくねらし具合に「さすがちぎたさん、よく体が動くなあ」と感心してしまいました。

●キムラさんのフィンチは明るくさわやかで、なんだかとっても堅実でした。
まじめーーーにコメディやって、まじめーーーーにぶっとんでる。
この堅実さがものすごくキムラさんというかとっても雪組というか…な感じで客席でしみじみと感じ入ってしまいましたよ。

フィンチの武器は笑顔。
ひどいことをしてもさわやかさで包み隠してしまうような笑顔。ある意味キラースマイル。

コメディしてるキムラさんのフィンチはうまくて面白いし、笑顔はいいし、芝居も客席で観てるときはそのときのテンポで流されて充分楽しめてしまう。
けれど、観劇後やふと我に帰ったときに「フィンチってひどい男…」という感は否めない。ギャッチさんをベネズエラ送りにしたことや、ローズマリーに対しての扱いに足が止まる。
この男をほんとうに好きになることってできるか?

別に芝居の主人公は人に好かれるタイプである必要はないと思うんだけど(たとえばエリザのシシィなんか好きにならんぞ。トートも)、イヤなやつを「面白いでしょ」「こういうのわかるでしょ」と言われてる感じがなんか苦手だ。
ごまかされている気分になる。
フィンチを劇中の人として突き放してみれないからかなぁ。

キムラさんがぶっとんだ芸風の持ち主だったらまた違う感想を持てたんだろうか。
それとも堅実な芝居だからこそ、フィンチを人間として見れて、物語をある程度のリアリティをもって観れたんだろうか。

さて、この物語がピンとこない最大の理由はわたしが別に社長になんかなりたくないタイプの人間だからかと思う。
ていうか、今、なんとしても出世して大会社の社長になりたい!! と思うタイプの人ってどれだけいるんだ。

何百年も昔を舞台にしたファンタジーになったらこれも面白いのかもしれないけれど、中途半端に過去だからたんなる「古い」になる。
キムラさんの芸風や雰囲気うんぬんをさておき、なんでこれをやったの?
これを上演して現代で受け入れられると思ったのかな。

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雪組

Posted by hanazononiyukigamau