『麗しのサブリナ』感想・4

花組

※完全放置してましたが『麗しのサブリナ』感想の続きです(まだ終わってなかったらしい)。
観たのは初日開けてすぐの土日だから10日ばかり経ってます。はははは。
今はみなさん演技が進化して深化してるはず※

オープニングの、蘭乃ちゃんがパーっと走ってきて木の上からパーティを覗いている姿が好きだ。
蘭乃ちゃん演じるサブリナの愛らしさとパーティの夢々しさが相まって、舞台上に非現実的な空間が生まれる。

妖精たちの集団なのだな、と思う。

イメージ的には『真夏の世の夢』。
人間と妖精たちで織りなす美しい幻。

舞台上に繰り広げられる世界が甘い夢のようで「これを観にきてよかった」と素直に思った。
美しくて善良で愛おしいものがそこにあった。

さてトップ娘役に就任した蘭乃ちゃんである。
とにかくかわいい。
むくれながらデイヴィッドとグレチェンが踊るさまを見ているのがいじらしくてかわいい。

腹をたてて死のうとし遺書を書くくだりははじめ「軽っっ!」と思ったが、パリから戻りレディとなった後との対比上あれで正解なんだろう。
ここのサブリナはまだ子供。
デイヴィッドへのあてつけのように考えなしに自殺を企てて、車のエンジン音相手に慌てる。人差し指を立てて「シーッ、シーッ」と言ってるのもおバカでかわいい。

ほんとに子供。
そんな彼女もパリでの2年間を経て美しく洗練されて帰ってくる。

大人になったサブリナは知的でキュートな美女として登場。
映画を見ていないので、原作を知っている人がヘップバーンと比べてどう思うかはわからない。
でも私は素敵だと思った。

外見的に美しくなって洗練されて。
でも根っこのところでは変わりきってなくて。
恋に憧れていた少女時代から、本当の恋を知って、心が揺れて。

この青さ、若さ、ひたむきさや不器用さが愛おしい。
蘭乃ちゃんが演じるサブリナの、外見的な変化と、根っこの変わらなさが良いと思った。

トップになりたてで未成熟な蘭乃ちゃん自身の現在ともかぶるんだろうけれど、こんなにかわいらしくて応援したくなるヒロインって、実のところ宝塚の舞台ではあんまり見れないんだ。
というのも、言うまでもなくたいていの場合は男役トップメインで話が作られていて、ヒロインは添え物であることが多いから。
主役である男役を引き立てることが第一で、キャラクターとして立っていなかったり、共感できない性格をしていたり、場合によっては出番すらろくになかったりすることがままあるから。

その辺、サブリナはまず主役だからキャラクターはばっちり。
そしてかわいらしい性格造形。

サブリナに感情移入できる。
そしてサブリナ自身を素敵なヒロインだと思える。

これって観客にとってもすごく嬉しいことだ。


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花組

Posted by hanazononiyukigamau