『ロジェ』感想・3

『ロジェ』に限らずハリー物でいいなぁ、と思うのは、第1に雰囲気。
落とした照明の美しさ、そこから生まれる大人っぽい雰囲気。

プロローグのダンスもブエノスアイレスの酒場でのダンスもどれも美しい。あの空気感に呑まれる。
その世界に引き込まれる。

プロローグの男役のダンスは言わずもがな、娘役のダンスも美しかった。
しかし布の扱いが非常に怖くて、息詰まる世界そのものでした。あの赤い布で首を絞めたり男役を引きずりまわしたり…。
ものすごくヤバいものを見てる気分になったよ…、開けてはならない箱の中を覗き込んでいるような。

が、もちろんこれは「ジェンヌの顔わかんないよ」「暗いから眠くなってきた」という危険と隣り合わせ。
隣り合わせというか、ほぼ100%そうなるんですけどね。もれなくついてくる。

芝居といいショーといい、男役ダンサーは帽子を深くかぶる。
自分のご贔屓がこれだったらけっこうキツイもんがあるよなー。

で、ハリーの芝居だといつもながら役がない。
『ロジェ』でいうと水さん、ちぎた、マヤさん、緒月くらいじゃないか、物語上必要だった役って(あれ、ヒロインのみなこと2番手のキムは……?)。
なにがしか役割と役名をもらえていれば恩の字で、あとは夜の男系ダンサーとか通行人とか。

役はあってもコメディリリーフな役回りで物語上絡まない人もいる。
コマのマキシムはマリポーサに引き続きそういう役回りでした。ハリーに気に入られてるのかね。

でも笑ったよ。
敵を追いかけていった彼が怪我したようすで戻ってきたのに「撃たれたのか」「転んで足首ひねったんだ」の流れがアホくて。あるいみ予想どおりすぎて。

マキシムは芝居の中の光だったな。
彼がいるから救われる。彼がいるから観客は息をつける。

ロジェも――、マキシムの存在に救われたところはあったんだろうか。
視野が極端に狭くなっているロジェにとって、基本足手まといなマキシムには苛立つことしかなかっただろうとは思うのだけど、それでも救いであってほしいなと思う。

「ロジェさん、どうぞ」――マヤさん演じるバシュレが倒れたとき、病室に入れずにいるロジェの背中を押したのは彼の声だった。
とてもあたたかくて優しい、人間味あふれる声だったんだ。

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