『ON THE TOWN』感想・2

月組

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・レトロな話でした。
ふつうに楽しいし音楽もいいけど、なんで今宝塚で上演しなきゃいけないのかはわからない。
しかも再演してまで観たい作品かというと疑問。

この作品ができたのは1940年代。
第二次世界大戦の前後。
そのころだから、「明日をも知れぬ水兵」のたった1日の恋というのは胸に迫っただろう。
明るさ、楽しさの裏の人生の苦しさがにじんだはず。

けれど今はそうでもないので、音楽のレトロさと合わさって「昔の話をやってるなぁ」くらいの感じである。
組子もメイン以外はほぼモブだしさ。

ジェンヌさんは頑張ってるし、歌もダンスも楽しいし、(ふつうに)いい作品だけど、何回も見たくなるような中毒性もなかったというのが、正直なところ。
(『20世紀号に乗って』も私には似たようなもんだが、あれはだいきほにあの大変な歌を歌わせたかったんだろうなという気がするから、まだいい)

・という作品の評価とは別に、演じているジェンヌさんは素晴らしかったです。

配役が出たとき「お、おぅ……」という気持ちにならざるを得なかったさち花ヒルディ。
ぐいぐい押してくる肉食系のタクシードライバーです。
赤ちゃんのように可愛いありチップを食うぞ!!とばかりにタクシーを飛ばし、自宅へ招き入れる。
チップとのタクシー車内でのかけあいのデュエットがすごい。迫力ある。
あの歌も演技も、技術あってこそ。

背景のニューヨークの街、車の運転の様と動きがとても合ってた。
あのスピード感はすごい。
ふたりの歌と演技、動きに拍手だ。

家に来てからの食事のナンバーも、色気たっぷりに見せた。
脚の見せ方なんか堂に入ったもの。さち花は美脚で有名なプロの娘役だものね。

・チップを演じたありちゃんは「赤ちゃん」部分と「オス」な部分が両立するのが素晴らしい。
ほんとありちゃんのための役だわ。

ヒルディと過ごすうちにその気になって気づいたら押し倒したり撫でたりしてるのが、みょーにリアルであった。
でっかいけど、幼い部分もあるけど、ちゃんと男。
母性本能をくすぐる部分と野性味が合わさってる。

その一方で赤ちゃん扱いされてほっぺたを膨らませてるのも可愛い。
はまり役です。

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月組

Posted by hanazononiyukigamau