雪全ツ版『仮面のロマネスク』感想・3

梅芸で観た雪組全国ツアー公演『仮面のロマネスク』~ラクロ作「危険な関係」より~の感想の続き。
観劇したのは4月13日(土)12時、16時30分、4月14日(日)16時30分の3回です。

・今回めちゃくちゃよかったのはせーみくんのアゾランですね。
ヴァルモンの従者です。

アゾランは音綺ジュリーと好い仲になりつつリーザにも目をやり、ジュリーに「すぐチラチラするんだから」と言われ「妬いてるの?」としれっと言う……。
これが、めちゃくちゃハマるんですよ。
チャラい。このチャラさが、ものすごく遊び慣れてる男子っぽさがあって、「どこで学ぶんだそんなの!」と叫びたくなりましたわ。
ご主人のヴァルモンよりよっぽど遊んでて女を泣かせてますよ、このアゾラン。せーみくん、怖あああああ!!

仕事も抜け目なくていろいろと目端は利くし人間心理わかってるし上手い抜け道も知ってるしってな感じで、ほんと遊びも仕事もできるやつですわ。
ヴァルモンの従者だからこその旨味も利用しつつ(特に女関係)、でもちゃんとヴァルモンへの忠誠心もあるという、なにこの完璧な従者。
今まで観たアゾランの中で一番しっくりきましたね。

・あがちんのダンスニー伯爵。
ダンスニーって2番手男役の役にしてはずいぶんとアレで、美味しく見せるにはほんと難しい。いやもうほんとに……。

生真面目に生きてきて女性と付き合ったことがないダンスニー。
ゆえに恋するセシルとのつきあいも清いままなかなか進展しないわけですが、今までは「父について武術の稽古をしてました」がはまるのはあがちんの体格ゆえですね。
どことなくぼーっとした雰囲気も似合う。見た目がいいから女性から色目を使われても気づかなかったんだろうなぁ。

セシルと歌をいっしょに歌って……と語る空気読めない感じは振り切ってて楽しい。

ヴァルモンが「歌の先生から」とセシルに手紙を渡すところは、秀逸なジョークに聞こえるのが面白いところです。

・ジェルクール伯爵はさんちゃん。
セシルの婚約者であるジェルクール伯爵は「遊んだあとは清純な乙女がいい」「金髪の女は貞淑」とかお抜かし遊ばすなかなかのクソ野郎なわけですが、これが似合うんだよ……。

さんちゃんってひどい奴の役が似合うよね。なぜかDV系が似合う。路線男役なのに。
狙ってやれるものでもないと思うので、ほんとわけがわからないがすごい。路線男役への褒め言葉としては微妙な気もするが……。
ヒゲもお似合いでした。

・ブランシャール夫人のあやねちゃんは学年的には若いんだけど頼もしい中堅。芝居上手いわあああ。
気品と抜け目のなさ、ちょっとした怖さ、落ち着きなどが揃ってる。

・セシルの友人・ソフィの夢陽さん、芝居上手くてめっかわ。

しかしあのアニメ声はこの役限定なのかが気になる……と思ったら、カードが強いテチエンヌ夫人も彼女か。
このときは気にならなかったから役作りの一環ね。

・法院長はりーしゃ。トゥールベル夫人の夫です。
仮面舞踏会でのヴァルモン子爵の振る舞いに心を壊した妻への視線に胸が痛くなる。いい人なんですよね。
社交界での残酷な遊びに妻が振り回されたのを知ってのことか。

自分と妻が恋情でつながっていないことはわかっていただろうし、貞淑な妻が恋ゆえに身を滅ぼしたのを慈悲深い目で労われるのは、それまでの信頼関係があってこそなのでしょう。

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