雪全ツ版『仮面のロマネスク』感想・2

あーさ演じるヴァルモン男爵は、あまり遊んでなさそうなヴァルモンでした。
顔がいいし社交にも長けて出世もしたから女性にはモテるだろうけれど、なんだかんだ一途そうな愛の重さがあるのはあーさの芸風なのでしょう。人でなし感も薄い。

だから夢白メルトゥイユと駆け引きしてるところは初見ではしっくりきませんでした。
メルトゥイユと恋の駆け引きをしていてもバチバチ感が薄めなのは、どうせ夢白メルトゥイユのこと好きなんだろ~? ゲームの敗けは決まってるようなもんじゃん。と思ってしまうから。

そんなあーさヴァルモンは、ともかトゥールベルのことで悩み出すところが真骨頂でした。

あーさヴァルモンで特徴的なのは「次はセシルだ」の言い方。
トゥールベル夫人への沼にはまるかのごとき想いに混乱して、またそんな状況なのにメルトゥイユのためにセシルを手にかけざるを得ないのが不本意なのか。
自分が加害者なのに傷ついたような「次はセシルだ」。まるで愛していないセシルを手籠めにすることで、自分はゲームのプレイヤーだと自らの優位性を確認しているようでした。

彼の気持ちはどうあれヴァルモンのすることはひどいのだけど。

さらに、メルトゥイユにトゥールベルの入った修道院にアゾランが通っていると突きつけられたところは、トゥールベルの手を離せない弱さを表に出していた。
そう、あーさのヴァルモンってどこか弱いんだ。弱くて滑稽で愛おしい。……やってることはひどいけど。
この弱さが、ダンスニーとの決闘で勝ちを譲ろうとするところにつながるんだろうか。

あーさはヴァルモンの人間みをきちんと演じていて、ああ月組育ちだなぁと思いました。
……ふと気づいたけど、私が観たヴァルモンって全員月組出身者だわ。(ゆうひさん、みりお、あーさ)

今まで見たヴァルモンとは違う役作りで、これはこれで面白かったです。

あとヴァルモンを見ながらあさみちゃんって犬属性だよね、なんでショーでは猫になってんだろうと思ってしまいました(笑)。
「犬のような男」だと可愛すぎるからか、忠犬になっちゃうからか。

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