『マノン』を見たんだ・1

星組公演感想,星組

愛ちゃん主演の星組バウホール公演『マノン』をライブ配信で見ました。
7月11日(日)15:00の回です。

上演(再演)決定時から評判がいま一つで、幕が開いてからもやっぱり……な作品でしたが、うっかり楽しかった!!!

劇場で観てたらどうだかわからないけど、ライブ配信でツッコミ入れながら見るには楽しい。
というかツッコミが捗る捗る……どうなんだってくらいツッコミどころ満載。
大元の原作は有名なものだし、演出如何によっては名作になるべき作品なのかもしれないのに、なぜかネタ作品が好きな人向けの作品になっちゃってる気がする。
皆殺しの谷作品を楽しめる人向けといいましょうか……。
(なお、『マノン』の作・演出は中村Aこと中村暁センセイです)

ストーリーとしては、貴族の息子で学生の身分であるロドリゴが、奔放な魔性の美少女・マノンに惹かれて破滅していく話。
生きていくにはお金が必要で、しかもマノンは享楽的な性格。
質素な生活はできず、しかもお金をたかってくるクズな兄・レスコーまでついている。
当時、貴族の息子であるロドリゴに「働く」という選択肢はないようなものなんだろう。
では、どうやって金策するかというと「実家に送金を頼む」はまだしも、「カジノで稼ぐ」になっちゃうのが、

あかーーーーーーーん!!
それ、破滅の道まっしぐらや!

カジノで稼ごうなんざ、「この戦争から帰ったら結婚するんだ」くらいのフラグだからやめとけ! というくらいのことをしでかしてくれます。ロドリゴ坊ちゃまは。

そう、ロドリゴは坊ちゃま。
青臭い若い青年。
ぶっちゃけアホですか、と言いたくなります。

そういう青年を、研15の愛ちゃんがやってるわけでして。
正直なところ、なんぼなんでも学年がいきすぎてないか、もうちょっと若い学年の男役が演じるほうがしっくりこないかと言いたくなります。

ついでにいえば、タイトルロール・マノンを演じるくらっち(研10)も「奔放な美少女」を演じるには柄違い、上級生すぎるところを演技力でなんとかしてます。
愛ちゃんもくらっちも力技です。
さらにいえば、2番手役のマノンの兄・レスコーの天飛くん(研6)は学年が若すぎるところを実力でなんとかしてます。
気合いの総力戦です。

で、青臭い愛ちゃんを見てるとかゆくもなるんですが、意外なほど似合うというのも本当のところです。
老若男女、白い役も黒い役もキワモノもなんでも演じる愛ちゃん、演技力でねじふせてきます。
愛ちゃんはマノンのことしか見えなくなってるどうしようもない若者を熱演。
セリフすべてに濁音が入りそうなくらいに熱演。(この発声もツッコミどころだった)

「ロドリゴ、こいつあかんわ……」となりつつも、愛ちゃんの熱演に引き込まれて見てしまいます。

しかも愛ちゃん、ショーアップされた場面の目線の決め方とかがいちいちかっこいいんだよ。
ロドリゴは若造だけど、要所要所で愛ちゃんの男役スキルを遺憾なく発揮。
ぐあっ、かっこいっっ!!とアホさとのギャップに鼻血を吹いて死ねます。
くわえて、めちゃくちゃスタイルいいし。

『マノン』はロドリゴの青臭さとアホさを愛ちゃんのかっこよさと男役芸で帳消しにしていく作品でございました。

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