『冬霞の巴里』感想・1

シアター・ドラマシティ公演『冬霞の巴里』初日を観てきました。

ひとこちゃんの東上主演作で、さっしーの2作目です。
『龍の宮物語』でデビュー早々ヒットを飛ばしたさっしーなので見ずにはいられんかった。

で、観終わった今、正直どういう言葉で形にしていいのかわかりません。
「面白かった」「いい作品だった」「考えさせられる」
どれも本当でどれもちょっと違って……でも良作だと思います。
初日から言うのもどうなのかわかりませんが、また別の人でも再演してほしい。
役が多いしちゃんとそれぞれにキャラがあるしビジュアル的にもきれいで怖くて面白みがあるし。

そう、ビジュアルがすごい。
『龍の宮物語』でも妖怪たちがすごいメイクしてましたが、あれのさらなるゴシック版と思っていただければいいかと。
人ならざる者たち(復讐の女神)と、パリの下層世界の人たち。
外部の作品ならこういうのわりとありそうな気もするけど、宝塚では思いきったなぁ……!

衣装も面白い。
人ならざる者たちと主人公・オクターヴの亡父・オーギュスト(しぃ様)は血しぶきが飛んだような衣装で。
主人公・オクターヴ(ひとこ)とかれの姉・アンブル(美咲ちゃん)は心の葛藤をあらわしたような複雑な柄。
オクターヴの義弟・ミッシェル(らいと)とかれの婚約者・エルミーヌ(みこちゃん)は心の清さをあらわしたような水色や淡い緑の衣装。

お衣装の担当は有村先生で、そりゃ外れないよね。

話は「オレステイア三部作」(読んだことないけど……)を元とした復讐譚。
物騒で不穏で当然暗いんですが、暗い中にも愛や葛藤が詰まっています。

特にオクターヴとアンブルの関係は複雑で、この姉弟は血縁と復讐を中心としてつながっているけれど、実のところは復讐はつながる理由付けにすぎないのではないか……と思えてならないのがいいところです。
オクターヴはファザコンでシスコンで、思いが重い。
姉に見せる甘えはたぶんファンにはたまらんでしょう。

あまり書くとネタバレになってしまうのでアレなんですが。
失った記憶を取り戻して、自分の記憶とはかけ離れた亡き父の姿を知ってのオクターヴの葛藤が素晴らしかったです。
オクターヴが慕っていた亡き父が実は……というのは考えさせられます。人によって見える姿って色々だよね。

初日だったのでご挨拶がありました。

組長・あおいちゃんから専科さんとしてご紹介を受けた元月男のゆりちゃん、ついお辞儀が男役のものになりかけて客席みんなフフッてなってました。
ゆりちゃんは女役やっててもロイヤルでした。
フィナーレでも女役姿で艶やか。いいもの見た。

ひとこちゃんのカテコでは、
「近ごろ外は暖かくなってきましたが、舞台は冬ですので、何度でも劇場に足を運んでいただいて、身も心も震えていただけたら」
みたいなことを。
「身も心も震えて」って笑うわー。こんなご挨拶ある!?

カーテンコールでは今日の初日だけでなくおめでたいこととして、アンブル美咲ちゃんと少年オクターヴの夢ちゃんがお誕生日と紹介。
いい日になったよね。

現在かれーちゃんが梅芸メインホール、ひとこがDCで公演中ということで花組さんが梅田ジャック状態です。

『冬霞の巴里』が暗くて『TOPHAT』がめちゃくちゃ明るいので、交互に観たらエンドレスで楽しめると思います。
甘辛の法則ですね。

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