花組全ツ版『激情』感想・1

花組全国ツアー公演『激情』『GRAND MIRAGE!』を観てきました。
11月19日(日)16:30梅芸公演です。
主演コンビは花組2番手のひとこと路線娘役の美咲ちゃん、公演2番手は専科のカチャです。

『激情』はメリメ原作の「カルメン」を元にした話。

美咲ちゃんのカルメン、すごく良かったです。
まだ新公学年ながら思いきって演じたなぁ。

ちゃぴ似と言われる美咲ちゃんだけど得意分野も持ち味もまるで違う。
美咲ちゃん自身が湿度が高くて重めの、情念の女が似合う印象。(ちゃぴはカラッカラで情念の重さはなかった)
『銀ちゃんの恋』の小夏、『冬霞の巴里』のアンブルもそうですよね。ちょっと元星のくらっち的なものを感じます。

『激情』はちゃんと観たのは月組のたまちゃぴ版だけなので、私の中では月組版が基準になります。(ずん花も映像で見てるかもしんない)

ちゃぴのカルメンは超ダンサーで野性の女でしたよね。
美咲ちゃんのは毒婦の様相。
悪事に慣れていて品がなくて、でもそういう女に惹かれる男がいるのもわかる。
愛欲が前面に出ている。
悪の華、毒気の強い陰性の華です。

カルメンがつかまったロープの踊りのところがすごいんですよ。
ホセをたらしこんでやる、たぶらかして都合よく使ってやるという気持ちが前面に出てて、これでもかと下卑た雰囲気があった。
セビリア市民が嫌がるような、忌み嫌われた「ジプシー」を具現化したような美咲カルメン。

美咲ちゃんのカルメンは、カルメンというひとりの女というより、セビリア市民がみた視線、ホセが見た視線を形にしたような、不思議さがありました。
もしかしたら、生身の人間ではなく、作家メリメ(=カチャ)の物語に生きる存在としての形をとっているのかもしれません。

カルメンに翻弄されるホセのひとこは、営巣から出て酒場で再会したときのカルメンに甘えるような目つきが印象的でした。
そういや冬霞も美咲ちゃん(=姉のアンブル)に執着する役だったなぁ。
営巣での「誰かを 誰かを 愛してる」という歌声もホセの若さが見えて、まっすぐで育ちのいいお坊ちゃんが手練れの毒婦に堕ちていくさまが面白かったです。

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