吉本の「少女歌劇団」

宝塚以外

吉本興業が「少女歌劇団」を作るそうな。
総合演出は「サクラ大戦」のゲームクリエーター・広井王子氏。

サンスポ

毎日新聞

私はタカラヅカもOSKも好きであるからして、こういう「歌劇団」的なものは好きなはずなんだ。基本的には。

だが、吉本のにはなにかすっきりしない感じを受ける。
気のせいであればいいが、どうにももやもやする。

・メンバーは12月31日時点で11歳〜17歳までの女性、経験不問
・宝塚歌劇団、OSKなどのように「男役」のカテゴリーは設ける
・学業優先
・20歳の誕生日で退団
・「雪・月・花」の3組に分ける
・CGと合同のチームもある

このような方向性であるらしい。

学業優先といってもどのくらい守られるのだろうかと思うのは、学校にも通わせてもらえなかったアイドルのニュースが耳目に新しいから。
本当に守られるのかと疑いの目を向けてしまう。

そして毎日新聞に出ていた内容が以下。

 「少女歌劇団という題材は難しい。大正の頃に30ぐらいあったという。戦後は宝塚も松竹も歌劇団から『少女』が取れてしまった。アイドルの時代に少女歌劇団をつくる意味を考えていた。少女の稚拙なもの、無垢(むく)なものに大人が浄化されるということがあると思う。そこからコンセプトが決まってきて、単なる商品として出すのではなく、日本文化を少女を通して発信したい」と広井さん。

引っかかるのはまず”少女の稚拙なもの、無垢(むく)なもの”を売る、という発想だ。
女性、それも特に若い女性には技術や成熟は求めない。
稚拙で未熟で、自分の手の中で納まり御し得るような、そんなものしか求めないというメッセージに聞こえる。
”単なる商品として出すのではなく”云々言ったところで、結局はそうだろう。

宝塚歌劇だって、未熟さを売りにしている部分はある。
ファンだって必ずしも完成されたものを喜んでいるわけではない。「●●ちゃんは歌が(ダンスが、芝居が)ヘタねぇ(笑)」と言いつつ「それがまた可愛いんだけど」と愛でる部分がある。
技芸的には未熟な若い女性たちが必至で踊り、歌い、舞台に立つ姿を見守ること自体がタカラヅカの醍醐味だ。

それでも卒業は各人の意思だ(実際にはいろいろあるだろうが、少なくとも建前上は)。
退団する時期は一律ではなく、技芸を磨き、成長し、満足した者がすみれの花園を去っていく。
誰かの理念のために舞台を去るわけではない。

 「歌劇団の訓練は、日本人であることを一緒に勉強していきたい。小さな女の子の成長を一緒に見ていただきたい。専用劇場を作っていただけるということで、一緒に設計し、勉強しながら、戦後日本人が日本であることを忘れ過ぎちゃったので、そんなことも一緒にやりたい。茶道をやったり、着物を一緒に着られるようになるとか、純粋な日本人になるということが国際人になると、僕は思っている」と思いを語った。

そしてもう一つ引っかかったところ。
「純粋な日本人」ってなんだ?

茶道や、着物を着られれば純粋な日本人になれるのか?

日本文化の継承は基本的には良いことだと思うけれど、「純粋な」というのが頭についた段階でうさんくささ3倍増。
純粋か不純かを誰かがジャッジするということの気持ち悪さったらない。

ともかくも、若い少女たちの夢が食い物にされなければいいな、と危惧している。

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