『ANOTHER WORLD』感想・3
・康次郎のべにー。
技術的に足りないところはある(特に声のコントロール)。
けれどキャラが合ってる。
貧ちゃんへの優しさ、お澄と会ったときの伸ばした手のぷるぷる、閻魔庁に呼ばれて閻魔様をつい拝むところなど、気の良さがあふれている。観光気分なんだよね。
はちゃめちゃなところも中の人の地とリンクするようにしっくりきてました。
キラキラした変な天冠もタカラヅカだからなぁと同時にべにーさんだからなぁと思う。
こういうコメディなものを堂々とかぶって寒くさせずにちゃんと笑わせる。
いい存在感です。
・あーちゃんのお澄。
可愛い、綺麗。
なかなか出てこないので途中で存在を忘れかけるが、出てきたら「ヒロインです!」という可愛さで観客を納得させる。
可愛さからくる説得力、大事。
ただ可愛いだけじゃなくてコワい。
蛇をびったんびったんやるところとか、現世にやってきた赤鬼たちを「丁稚にすればこれからずっといじめられますなぁ」と言うところとか。
とろとろふわふわしたぱっと見の雰囲気の可愛さと、そこはかとなく持っている内側の男前そうな雰囲気とが役にマッチしている。
べにーさんとのコンビはとても良くて、やすじろはんにちゃんと惚れて愛し合ってるのが感じられるのがいい。
「崇徳院心中」の文楽人形も似合いまくり。
ツッコミ入れるのもスパッと決まって、さすが関西のお嬢さんである。
・まこっつあんの徳三郎。
「プロがきた……」といつも思う。
あの声の良さ、舞台の安定感は他の追随を許さない。
年齢から見た目にもすっきりして気風のいい男振りを見せる。
体格の振りや可愛らしい顔もなんのそのの、いい男役である。
いいところはたくさんあるけど、取り巻き連に「実は……」と過去の悪行を謝られて戸惑いつつも許すところ、文楽での掛け合いの歌は特に好きだった。ツッコミもピシッとくる。
歌のソロは聞き惚れる。声の良さがすごい。もう「すごい」としか言いようがない。
現世に戻った二人を送る歌も素晴らしかった。
今回は関西出身のトップコンビが大坂のひとを演じ、東京出身のまこっつあんが江戸っ子を演じている。
そこのところも宛書的にぴったりきたんじゃないかな。
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