ゆずかれーちゃんに満足する公演でした。
彼女の素晴らしさはまずは美しさですが、それだけでなく「大きくなったなぁ」と感じたんです。
もっともそんなに「小さいころ」をちゃんと認識しているわけではないんですが。
(もちろん初舞台や組配属のころから観てはいますが、花組の新公はそれほど観てはいないので)
舞台は、27年後(プログラムによれば1860年)から始まる。
ジナイーダらと過ごした夏(1833年)、そのときウラジミールは18歳だから、計算すると45歳なのか(今知った)。
――45歳だとは思いませんでしたが(もうちょっと若い、せいぜい30代かと)、落ち着いて大人びて、翳りのある演技を見せます。
そして振り返った過去が物語の地点。
ゆずかれーちゃん演じるウラジミールらがネスクーチノエを訪れる。
その登場時の、弾けるような笑顔のまぶしさといったら。
この2つの演技に感動して、「来てよかった」と思ったんです。
そして、父・ピョートルに向ける敬愛の視線。
ヒロイン・ジナイーダやその取り巻き連中に対してのピリピリした態度。
若さを感じさせる潔癖さ。
情熱的で一途な愛。
混乱し、惑い、脆さを見せる――その美しさ。
あらゆるものが、ウラジミールという役にぴたっとはまっていたのです。
ウラジミールという若者が、舞台に息づいていました。
そしてウラジミールの感情が客席にもダイレクトに響きました。
また、2幕初めだったか、ゆずかれーちゃんが一人でバウホールの舞台に立っているシーンがありました。
あの空間を悠々と満たす姿に、やはり真ん中に立つべき人だな、という思いを新たにしました。
もちろんバウホールと大劇場では大きさが桁違いですが、彼女はまだ研6ですから。
新人公演をやっている学年でなんの不安もなく舞台一つを充たせるということに、笑みを浮かべずにいられませんでした。
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