『おもひつ記』を読んだんだ

宝塚一般,雑誌・書籍

小林一三氏が『歌劇』誌上に連載していた『おもひつ記』を読みましたよ。
戦後である昭和23年から亡くなる年まで執筆しておられたものです。

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なかなかにすごい本でした。
ばっさばっさ斬る。
作品も関係者もジェンヌも、これでもかと斬る。

はっきりと「(作品名)には失望した」とか書いてます。

身内びいきの、駄作すらまともな作品であるかのような公演評はごめんですが、ここまですっぱり書いちまうのもすげーな! と感動していいのか不安になっていいのかわかりません。

出演者についても、褒めることもあればダメ出しをすることもあり。
よっちゃん先生ですらときにはダメ出しが入るという。

・昭和23年、宝塚歌劇は毎月100万円以上の赤字だった
・星組は労働基準法の対策としてできた

などという情報もありました。
当時の100万円って、今の物価とは違うからなぁ。
「阪急のドラ娘」と言われるわけだ。

また、『歌劇』がつまらん、とか書いてるのもすごいですね。
そんなアナタ……。
『歌劇』に載ってるのに。

歌劇団の内情も現代の感覚からすればバラしすぎ。

あと、ヅカファンからきた抗議のお手紙にも返答してます。
「生徒が男性とダンスホールにいるのを見ました。教育はどうなっているのですか」とか、
「どうやら音校入学にはコネが必要なようですが、おかしくないですか」とか、
「チケットの売り方がおかしい。コネのない一般人は朝早くから頑張ってもカス席にしか座れない仕組みなのに、内部にツテさえあれば悠々と前方席に座れるのはどうなっているのだ」とか。
(いずれも大意)

今も昔も変わらんなぁ、と思ったりもします。

それにしてもこんなこと書いちゃっていいのか! と思う部分が多すぎです。
いやぁ、まごうことなき宝塚史の一級資料だわ。

創業者、フリーダム。

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