『愛と革命の詩-アンドレア・シェニエ-』感想の続き。
観劇したのは8月24日と25日なので2週間くらい経ってます。
●先の記事で「蘭寿さんのシェニエにはなんの不足も不満もないです。」と書いておいてなんですが、一つ気に障る点がありました。
誰からのものとは知らぬまま、手紙の差出人(マッダレーナ)とシェニエが会うことを決めるシーン。
まりん演じるルーシェが相手は娼婦かもしれんぞと言い、それに対してシェニエは手紙の差出人は教養のある高貴な女性だと看破する。
ここがどうにも不愉快だ。
というのも「娼婦なら会わないが、高貴な女性だから会う」と言っているかのようにも取れるから。
本人の演技にそういう含みはないんだけれど、流れ的にそういう風に思える。
革命に賛同していて、既成の身分秩序に対抗する立場であればこそ、そう取れる会話はよしてほしかった。
シェニエが「相手が娼婦でもかまわないが」と前置きすればいいのかなぁ。
でもそうすると性的な意味合いが強まってしまって、シェニエが色好みな人みたいになってしまって困るか。
ルーシェのセリフを「どんな相手か知れたもんじゃないぞ」くらいにしておけばいいのかな?
●シェニエは崇高な人。
だが、そこで完結してしまうのであまりやることがない。
大恋愛物だけど、白い革命家(?)だけど、そんなにおいしい主人公じゃなかった。
心理的な動きも成長もないからなぁ…。
その意味ではみりおのジェラールのほうがおいしかった。
悩む姿も悪いところも改心するさまも、たくさん「動き」がある。
●マッダレーナちゃんが「光がみえない」みたいに歌うところでは、いったいどこのリリス(『堕天使の涙』のヒロイン)かと。
芝居全体ではロミジュリだったりスカピンだったり。
いろんな過去の作品を思い出しました。
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