『ランスロット』感想・4

星組

主演はただドーンと立っていればいい。
芝居は回りのうまい人がやればいい。

というどこかで聞いたような言葉を思い出すような舞台でした。
ある意味、すごく宝塚として正しい(のか?)

主演のランスロット=真風はとにかくかっこよかった。
長身に美貌、長髪のカツラ、鎧に剣がなんて似合う。
ものすごく存在がファンタジー。

芝居がうまいかどうかとか、歌は得意じゃないとか(本人比でよかったですよ)、そういうことはすっ飛ばす。
姿の美しさや華でいやも応もなく「ああ主役ね」と思わされる。

これはこれで得がたいよ。
見てるだけで「あー、真風好きだわー」と思えるもの。

でかくておっとりした風情(なんとなくぬぼーっとしてるともいう)がまた意味もなく大物っぽい。
こののんびりした感じがまた宝塚の主演っぽい気がする。
うまくなってほしい気持ちはないわけじゃないんだけど、こういうおっとりした人をまったり見るのも、これはこれでなんか癒されるな。

ただ存在感がまったりしてるもので、「え、グウィネビアのこと本気で好きだったの?! お姉ちゃんに懐いてるとかそういうレベルじゃなくて、肉体関係もって不倫して、振られたことにキレて聖杯の力に頼ろうとして異民族を虐殺しちゃうくらいに?」というところがしっくりこなかった。

風ちゃんの幼ランスロットが綺咲嬢の幼グウィネビアより子供にみえて、でもって子供の常として女の子のほうが成長が早いから、二人の関係は姉と弟っぽいものがある。

で、大人になってからもそういうところはある。
恋にも自分の立場にも目を向け、先に進んでいくのは女のグウィネビアの方。

ランスロットはグウィネビアの感情に呑まれ、振り回されているように見えた。
ランスロット本人の意思はよくわからなかった。
LIKEなのかLOVEなのかってあたりが、どうもね。

ようは発する熱量の問題なのかな。
おっとりしてて穏やかで、でもクールってほどでもなくて。
演技に温度感がでたらもっといいと思うんだけど。

でもその分(かどうかわからないけど)、最後のシーンは妙に腑に落ちた。
聖杯の力を得て彼が作った世界は、穏やかでだれも傷つかない世界。
彼はグウィネビアの側にいる少年として存在する。

おおらかで穏やかで美しい世界。
それが真風と妙にかぶるんだ。

0

星組

Posted by hanazononiyukigamau