『オネーギン』感想・6
・緒月演じる「ある革命思想家」――リサリサたちからは「(オネーギンの)縮れっ毛のお友だち」と呼ばれる男。
緒月は存在感がいいなぁ。
もちろん演技うんぬんも悪くないんだろうけれど、小奇麗な感じの少年~若者テイストな男役が多い雪組生の中で、ちゃんと30歳くらいの男に見えるってそれだけでありがたい。
彼があんまり若すぎると主役・オネーギンとのつり合いが取れないから。
それに緒月の役は現実との回路の役目を果たす、とても重い役回りだから。
2幕での「なんで革命の仲間に入れてもらえないんだ!」的に悶々としてるところがよかった。
若さも見せつつ、革命へと走ろうとする青年将校たちとは違うなにかを感じた。
1幕でオネーギンと遊び呆けてベッドへ倒れこみ、女の名を呼びながら理事様に抱きつく、という流れはちょっとおもしろかったです。
腐的に萌えたりはしないんだけどさ、この組み合わせとシチュエーションでは。
・ひろみのウラジーミル・レンスキー。
詩人だ!
悲劇的な死だ!
――――何回目だ? ( ´・ω・`)
ちょっぴり「いつかどこかでみたひろみ」状態でもありました。
劇場でデジャヴ。
レンスキーはピュアだった。
こういう役、ほんとに似合うな。
オリガとオネーギンのダンスに苛立ち、精神が振りきれ、ぐっと酒をあおる。
そして酒の勢いを借りて決闘を申し込む。
酒の力を借りなければ決闘を申し込めない、――あるいはそうしてでも決闘を申し込みたかったレンスキーがせつない。
・14歳のオネーギンを演じた彩凪くんはまず美しい。
そしてかれもピュアだった。
かれのもつピュアさが理事演じるオネーギンの繊細で複雑で偏屈なところの底に見え隠れする。
ちゃんとつながっている。
・にわさんの老僕・セルゲイは渋くてよかった。
かれがいるからヒロさんのワシーリィーが偏屈なだけの男でないことがよくわかる。
ラスト近く、田舎に戻ったオネーギンに「部屋はそのままにしてございます」というところは泣ける。
ワシーリィーもあたたかいけどセルゲイもあたたかいんだ。
彼がいるからオネーギンは田舎に戻ることができる。
そして、かれのあるべきところ、かつて持っていた心に立ち返ることができる。
・ザレツキーとグレーミン公爵のがおりは若いのにうまかった。
なんとなくセンターという気がしないのだけれども(新公主演したけどね)、彼にまかせておけばとりあえずは安心、という気になった。
なんかほっとした。
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