2022年『レビューin Kyoto』感想・2

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京都南座で行われた『レビューin Kyoto』、芝居は『ミュージカルロマン 陰陽師 闇の貴公子☆安倍晴明』。
初演は2時間を超える作品だったらしいですが、今回は1時間でタイトにまとめました。
(あ、初演も再演も観てないです)

だから展開はかなりスピーディーで、人間関係(妖怪関係も)はかなりはしょられてる……というか、演者の力に任されてる感じはありました。
でもわかりやすかったですよ。
原作を知ってたせいもあるかもしれないけれど。

で、なまじ原作を知ってるだけに驚くのは主人公・安倍晴明様ですね。

原作イメージと違って楊さんの晴明はめちゃくちゃ人間味がある。
捉えどころのない不思議な雰囲気はほとんどなくて、「闇の貴公子」だけど光属性が強いのね。
で、可愛らしい。少年のようです。
「闇だと……?」と突っ込まずにはおれん。

闇出身(なんせ母親は狐)だし、闇を駆けるけれど、本人の気質は明るい。
いや、いちおう源博雅以外の人間は苦手なのか?
あまりそのへんの描写がなくて、ふつうに式神たちと楽しく暮らしてて、藤原道長たちともちゃんとやれてる(ように見える)もんだから、ほんとに闇っぽさはなかった。
これはプログラムにも書かれてるから、トップの楊さん仕様なんですね。

従来の安倍晴明のイメージからは離れているものの、不満はありません。

楊さんのお顔立ちが美しいし、動きも美しいし(手の使い方がきれい)。

特に、花道で印を結んで大江山に向かっていく楊さん安倍晴明がめちゃくちゃかっこよかったです!
若い晴明だけどちゃんと仕事人なのよね。迫力も雰囲気もあったわ。
伏し目になってからすっと目を大きく開ける流れの美しさといったら。

城月様の常盤(松の式神)が最高で。ビジュアルやセリフ声、歌声、動きなどももちろん素敵なんだけど、キャラクター自体がいいよね。
蜜虫に嫉妬したり、でも意に介してない蜜虫に翻弄されたり。
大泣きする維摩が晴明に慰められたら「私も私も!」とばかりに逆サイドに行ったり(笑)。
常盤と蜜虫のやりとりはわちゃわちゃしてて可愛い。

源博雅は翼くん。
『円卓の騎士』でのクセのある歌や芝居が印象に残っている人で、それを思うと博雅のすっきりとした好男子ぶりに驚く。
けど、考えてみればこれまでもいろんな役を違和感なく演じてきたものね。重いのも軽いのも。

晴明との心の通じ合うやり取りはもちろんいいし、ヒロイン・茨姫(茨木童子)を思う真っすぐさもいじらしく愛おしい。
さわやかで可愛らしさのある(もちろんかっこよさもある)源博雅でした。

4

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Posted by ゆきたろ