『カルト・ワイン』感想・3

宙組シアター・ドラマシティ公演『カルト・ワイン』の7月3日(日)11:30と16:00の回の感想の続き。
千秋楽の配信も見たかったんですが、公演中止になってしまい残念でした。
・「芝居のし過ぎで立場を忘れたか」「ワイン畑の肥料にすることもできるんだぞ」とことあるごとにポジションを思い知らせてくるチャポ・エルナンデス役のあーちゃん、めちゃくちゃ怖い。
登場時は荷物をスられることもあって(またその後の追いかけっこがコミカルで)ちょっと愉快な匂いもあるチャポさん。
なんだかんだシエロにとってはアメリカで助けてくれた相手でもあるし。
でもマフィアはマフィア。しかもボスだ。
気前が良く、愉快な人なわけもなく。
裁判のシーンの、壇上での存在感といったらなかった。
さすがルイマキセ。
威圧的なオーラがすごい。
悪い男の底知れない怖さを無言のうちに放ってくる。
退団が本当に惜しい人。
外部に行っても(行くよね?)活躍はしてくれるだろうけれど、男役・ルイマキセを見られるのはほぼ宝塚だけだからさ。
・神の舌をもつシエロが、その並外れた味覚を生かして料理プロデューサーとかになれたらよかったのにねぇ。
とはいっても、不法入国者なシエロには難しいことだし、教育もろくにない彼がまっとうな道筋で成功するのは発想レベルでも困難なことなのかもしれない。
だからこそチャポさんルートの「カルト・ワイン」で……ってなってしまうのでしょう。
・アマンダ役・さくらちゃんの声がいい。
実力は元からあったし、とてもきれいになった。
さくらちゃんは知的な女性が似合う娘役さんで、だからこそアマンダがワインのプロとしてのキャリアを作っていくのがとても似合う。
それでいて、フリオに結婚を申し込まれながら再開したシエロに心動いてしまうところもあって。
知性と柔らかさの両方を備えている良いヒロインでした。
「生意気な生徒」「可愛い先生」のやり取りはときめく。
シエロさんが天然なタラシすぎてすごい。
・ワインで殴り合いのシーンが好きすぎるのだが、ラウンドガールよろしくワインの写真を掲げる娘役さんにダルマ燕尾は正義だなぁなどと。
・まっぷーのディエゴ・マラディエガもとても良かった。
もえこ演じるフリオのいいお父さん。
フリオの友人のシエロのこともとても可愛がっているのが伝わってきた。
フリオに銃を向けられてなお、彼を受け入れようとする度量の深さ。
押しつけがましくなく、息子・娘とともに見守っていく。
アメリカを前に命を失うけれど、ホンジュラスの貧しい中の温かさを感じさせてくれる人であった。
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