月組宝塚大劇場公演「『応天の門』-若き日の菅原道真の事-」を観てきました。
2月5日(日)11時と15時30分の回、初日明けてすぐの日曜です。
作・演出は田渕センセイ。
原作のマンガがある作品で、未完ながら16巻まで単行本が出ている大著です。
私は全部読んでます。(雑誌掲載分までは手を出してません)
16巻分全部を舞台に載せるわけにはいかないので、さすがにある程度のところを選んで収めています。
※以下、ネタバレ含むので注意※
雑感として。
演者はすごく原作に寄せた役作りで凄い。
脚本は良くも悪くも宝塚仕様にしてありますね。
近年、ことにマンガを原作とする作品の舞台化が多いですが、昔から宝塚歌劇が得意とするところです。
ビジュアルの再現度も、動きも、ジェンヌさんたちはリスペクトをもってキャラクタを作ってきます。
れいこ道真
ポスターで「あの三白眼を……!」とうならせたれいこちゃん。
舞台上でも道真の三白眼に寄せてました。メイク術、すごい。
そして演技。
大人っぽい美貌のれいこちゃんですが、道真の若くて青くさいところ、理想に走りがちなところ、情をズバッと捨てるようで捨てきれないところなどなどの表現が素敵でした。
中でも、さんざん昭姫(海ちゃん)に理を説かれたあとに「いやです」でざっくり斬って捨てるようなところが最高ですね。れいこちゃんのセリフの間がいいんだ。
銀橋でいい雰囲気になったのにそれかよ!!みたいな客席の一体感も味わえます。
宝塚で演じる都合上か、原作よりはやや性格が明るかったかな。
なんせ、昭姫と大師(ゆいちゃん)にまきこまれて祭りで踊るハメになる道真さんというすごいものが見れますからね。
最初は不平顔で断っていたのになぜかいきなりやる気を出す。
主人公の見せ場として踊りは大事ですもんね。
不平顔で踊られてもアレなんで、これはいいかもしんない。
ただ、最後のほうで道真がキャラ変してるのは違和感を覚えました。
もしかしたら道真の「成長譚」として見ればいいのかもしれないけど……。
祭りはともかく、最後に清和帝(からん)にお目通りをするシーンはさすがに性格を改変しすぎじゃなかろうか、と思いました。
ちなつ業平
若造の道真に対し、大人の役回りの業平。
『応天の門』はとにかくちなつ業平の声が良くて。
力強く響く美しい声が、内にこもりがちなれいこ道真を外に誘う力として説得力がありました。
いつまでも自分の世界に生きていたい道真に、貴族社会への扉となる業平。
社会では理不尽なことや納得いかないことも多いけれど、その中での身の処し方を見せられるのは、彼自身まだ高子への想いを残して戦っているから。
完全に貴族社会に順応していたら道真へつながる扉は持てなかったはずでしょう。
業平は大人として酸いも甘いも嚙み分けたところがあり、でもこの作品ではコミカルな色もあり、もちろん圧倒的に色気のある役でもある。
シケの出し方や動き、なにより声の色気にやられました。
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