『マリー・キュリー』感想・2

4月22日に観たシアター・ドラマシティ公演ミュージカル『マリー・キュリー』の好きだったところ。

まず、夫・ピエールとの出会いのシーン。

マリーと夫との出会いの場面、最高に良かったなぁ。
ピエールがまず問いかけるんですよ。

「君はどうしてそれをやっているの」
「どうして女が化学をやっているかってこと!?」
「いや、そこから女を外してほしいんだが」

そう言われて、いきり立っていたマリーがパッと顔を輝かせる。

それまでマリーは異国人で女ということで二重に疎外されてきたからね。属性にとらわれない、純粋な質問って嬉しいよね。

さらに『マリー・キュリー』のよかったところとして、キスシーンがないんですよね。
別にちゃぴさんでそういうのを見たくないとかではないんですよ。
マリーと夫・ピエールとのつながりは、子どもはいても性的なものよりも科学者として志を同じくする者という強さが勝つ。
「知りたい」というマリーの志を支えるピエール。そこに、性的な匂いは薄いほうが、同志としての魂のつながりが感じられるから。

それから、放射線をマウスで実験する場面も好き。

マウスたちが狂ったように動いた後、しっぽのみを舞台に残す。
トカゲのしっぽ切りならぬマウスのしっぽ切りとでも言おうか。
しっぽだけが残されたところに強烈に死を感じる。

「好き」というとアレですが、演出としてうまいなぁと。

それからソルボンヌ大学でマリーが黒板にばーっと式を書くところや、工場で亡くなった人たちの名前を言うところに、役者の記憶力すごいなって。

・ちゃぴさんのマリーは粗末な衣服、構わない髪型。
化学への妄執がなければとうてい得られなかった業績を持ちつつ、実にチャーミングで、内面から光を放つヒロインぶりでした。

「ノーベル賞2度受賞」という輝かしさには翳の部分もあります。
ラジウムから出る放射能の危険性もだし、自らの立場の不安定さにより功を焦る気持ちも。
成果を上げ続けなければ自分の居場所はなくなる。 その焦りは現代にも通じるけれど、あの時代は今以上のものがあったでしょうね。

・『マリー・キュリー』はものすごく「刺さる」話でした。
この作品が刺さったのはシスターフッドの話でもあったから。
マリーを力づけてくれる親友のアンヌだけでなく、患者の少女もまたマリーを救う。

「私がいつ先生が成功すると思ったかわかる?先生は調子がいいとき3回ノックをするの。
最初に治療がうまくいかなかったとき、先生はコンコンコンと叩いた。そのとき、先生は考えている、まだ次の治療を考えているとわかったの」
このセリフで少女は治療される「患者」=弱者から一気にヒロインの1人として息づいたんですよね。

アンヌはもちろんのこと。
ソルボンヌへ向かうマリーを力づけ、マリーの研究から発見されたラジウムをたたえる。
その後は健康被害を受けてマリーの「翳」の部分を示す形になり、命を懸けて対立しながらも受け入れ合う。
力強い、もう一人のヒロインでした。

・『マリー・キュリー』に元月男の宇月に似てる人がいるなー、と思ってたら後からご本人だったと知りました。予習してないとこうなる……。

ちゃぴさんは宇月くんのお手伝いだったはずで、そういうのも合わせてエモいなぁ。

4

コメント

タイトルとURLをコピーしました