『フィレンツェに燃える』感想・1

花組公演感想,花組

花組全国ツアー公演『フィレンツェに燃える』を観てきました。
生観劇は梅田芸術劇場にて、10月16日(日)11:30公演の1回きり。
あとは配信を見れるはず……仕事がいきなりこなければ。

作品自体は「ほどほど」という感想です。
特に面白くもないし特別つまらなくもない。(初演のころだったら面白かったのかなぁ。それとも見る側の問題か)
ただ、なぜこの作品を選んだのかは疑問に思いました。

現代に合うテーマなわけでもないし、公演プログラムを読むかぎり演出の大野センセイにはこの作品への思い入れはなさそうだし。
劇団が全ツ向き(?)の柴田作品を再発掘したかったのか。
雪組大劇場の『蒼穹の昴』を観たところだったから「セットが簡素だわー、全ツでも楽そうだわ」とは思いました。
娘役のドレスなどヅカヅカしい美々しいところもちゃんとあるから、おそらく一見さんも多い全国ツアーで求められるビジュアルを備えています。
まどかパメラの夜会ドレスなんて、いかにも一般人のイメージする宝塚らしい衣装できれいだと思うの。

あ。ソファでれいまいがイチャイチャしてる(違)場面があったから、そのためかもしんない。
「あー、ここ写真にしてめっちゃ売れる場面な」と思って観てました。
とりあえずれいまいコンビ人気で売ろう、みたいな。
うん、需要と供給大事です。

作品自体は急展開が続くし、なのに演出上は登場人物たちがすごくあっさりとしてて感情のぶつかり合いみたいなのは控えめ。
もうちょっと心情とか書き込んでほしいんだけど、昔の作品ってこんなノリだったのかなぁ。

でも役柄はすごく合ってたと思いますよ。
かれーちゃんのアントニオは静かで大人な役。
かれーちゃんはクソガキみたいなノリのときもあるけど、その一方ですごく内面が静かなんじゃないかと感じるときもあって、アントニオは意外なほどにしっくりくる。

プログラムの初演の写真ではアントニオさんはヒゲじゃなかった。
だれがかれーちゃんにヒゲをつけさせようと言ったのか気になる。
かれーちゃんのヒゲ自体は良いともダメとも思わないんですが。(けっこう似合うし)

まどかは大人っぽい役が似合う娘役。
パメラが社交界で軽蔑されて屈辱を感じているときの「燃えるような目」を実にうまく体現してましたね。
目に力がある。

相手を思って心にもないことを言う「愛想尽かし」、柴田先生好きねぇ。

オテロ役・ひとこの「絶対に殺すマン」ぶりは健在で、今回も元恋人のまどかパメラに復縁を迫りながら憲兵としてのねちっこさを出していた。
軍服美しいわっっ。

物議をかもしてるっぽい、祭りの場面での放置は私はアリと思った派です。
カーニバルの浮かれた中にある哀しみの、対照性が切ないんです。

12