『ELPIDIO(エルピディイオ)』を見たんだ・1

月組KAAT神奈川芸術劇場公演『ELPIDIO(エルピディイオ)』~希望という名の男~のライブ配信を見ました。
11月26日(土)15:30の回です。
つっこみたいところはあれど、楽しかったです。

謝先生らしく政治色はけっこうあります。
20世紀初頭のマドリードを舞台にしながら、21世紀の現代日本にも通じるところが随所にあります。
この現実との近さが辛いと言えば辛いのですが(日本がどんどん笑えない状況になっていくし)、それもまた「舞台」の力です。

主演のちなつは詩人のロレンシオとアルバレス侯爵の2役。
もっというと、ロレンシオとアルバレス侯爵を演じるロレンシオと、アルバレス侯爵本人の3役かもしれない。
めちゃくちゃ上手いです。
演じ分けがうまくて、コメディの間がものすごく良い。
ロレンシオと、甲高い声でいけ好かないアルバレス侯爵役の切り替えが上手すぎる。
この芝居の上手さがちなつの良さなんですよね。ほんと舞台人として信頼できる。

偽侯爵としての食事シーンでの身体を張った笑いが上手すぎ。
傍若無人なアルバレス侯爵を演じてるときの身体のキレの良さは惚れ惚れするほど。振り切れてるわぁ。
スタイルがいいせいか余計に面白い。

プロローグではロレンシオの雰囲気の出し方が凄い。
カーキの軍服のところです。
あれは命を落としかけた過去を表しているんですね。

詩人・ロレンシオの声が良すぎて説得力がすごい。
静かに目を伏せて歌うところの母性をくすぐる感じもいい。

しかも舞台人として華がある。

侯爵の妻・パトリシア(みちる)と心を通わせていくところも自然でした。

2幕終わりはけっこうツッコミどころがありました。
あみちゃんセシリオがあらかじめ教えてくれたとはいえ、4人から襲撃を受けて返り討ちにできるのすごすぎだろう……。
命張って生きてきたのね。

そして長セリフにはお疲れ様っス!!
聞いてるこっちも「お、おう……」って感じだったわ。
エルピディイオさんの背景はわかったけどさ、何はともあれ刺されたあみちゃんを寝かせてあげてくれ。
滔々と語られる政治的な話にキムシンを思い出した。
(でもこの脚本・演出で舞台を成り立たせてたのは月組生の演技力だと思うわ……演者によってはほんとダメな舞台になってたはず)

フィナーレ、めちゃくちゃかっこよかったです。
スペイン扇を使った男役群舞。いいよねー。
ちなつの白地に黒の模様入りのドレス燕尾?もすごくかっこいい。
センターパーツっぽい髪型もいい。

揃いの衣装でのみちるとのデュエットダンスももちろん素敵。

作品にツッコミどころはありつつ、演者は素晴らしかった公演でした。

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