『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』感想・1

宙組宝塚大劇場公演『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』を観てきました。
3月12日(日)11時公演と15時30分公演(dTV貸切)の2回です。

大劇場9作、長期トップを張った真風のサヨナラ公演です。
それにふさわしく、日本のミュージカル界を背負う男・小池先生の1本物……!
しかも世界に名だたるジェームズ・ボンド!!だったのだと思うのですが。

『歌劇』座談会や公演プログラムの小池センセイのインタビューにもあるように「トンデモ・ボンド」の域だったのではないかと思います。(あらかじめご本人が言っちゃうのもすごいな)

いや、ジェームズ・ボンドはほとんど知らんのよ。
いちおう原作の『カジノ・ロワイヤル』は読んだけれども。

ただ、小池センセイって海外ミュージカルの翻案はともかく、オリジナル作品って昔からけっこうトンチキでしたよね?
はい、トンデモというよりトンチキでした。

1本物なので約2時間半かけて1つの作品が上演されるわけですが、第1幕と第2幕で作品のテイストが変わりすぎてびっくりよ。
第1幕はそこそこシリアスだったのに、第2幕はコメディというかコントというかなノリになってしまいまして。
いや、おかげで第2幕は寝なかったですけれども。

ネタバレしますが、キキちゃん(ル・シッフル)の世界征服、悪い科学者りっつ、ドロンジョ様みたいなみねりちゃん(ル・シッフルの元恋人のアナベル)とてんこ盛りですよ。
ナチスネタ引っ張ってきてネオ・ロマノフ家とか、うわ~~~頭悪そうで楽しい~~~~~!!!(大失礼)
きっと幼稚園バスジャックしてくれると思う、ネオ・ロマノフ家。

今作のヒロインはロマノフ家の大公女・デルフィーヌ(じゅんはなちゃん)。
名前はイルカ(=ドルフィン)に由来するものなんですが、そこから始まるイルカネタとイルカソング。
けっこう長い。
ヅカファンがなぜかイルカのうんちくに詳しくなってしまう。

イルカソングを芝居中で歌われるのも「なにを聞かされてるんだ」感がすごかったんですが、一番腹筋にきたのはいわゆる「歌唱指導」(イケコ恒例、フィナーレの最初に銀橋を渡りながら男役が歌うアレ)で歌われたときですね。
なんでこの曲!
いや、世界平和を願う系だから合ってる……のか?

しかも歌詞。
「知っているかい? イルカは知性がある」
「音波を出して危機を知らせる」

お笑い大好きなキキちゃんだけに、ダジャレか!! と突っ込みたくなる。キキちゃんが危機!!

ダジャレだけじゃなく、内容自体にもつっこみたい。

「イルカは頭が良くて人を助ける イルカが人を愛するみたいに人間同士が仲良くやれたら(冷戦時代でも)世界平和!」みたいなことを歌っておられるのは、いくらなんでも論理の飛躍ぅぅぅ!!!と唸る。
それに、イルカが人を助けるのって、単に岸に運ばれた人が生き残ったから「イルカが助けてくれた!」って言ってるのであって、沖に運ばれてたら死人に口なしなわけで…という説をTwitterで読んだことがあるのですよ。
よって、イルカ賢い!人を愛してる!という考えも脳内ツッコミだらけよ。
この思考回路でスパイやっててだいじょうぶか? ジェームズ・ボンド。

イケコ、さすが海馬の帝王の人だけあるわと思いつつ、そういや退団公演に良作なしなんて言われてた時代もあったな……などと懐かしくなりました。

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